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志村家の合流により、部屋の中が一層明るく賑やかになった。
大人4人と子供が2人、ゆっくりとお茶を飲みつつ話に枝葉が及んでいく。
「ジャッキーは誠と一緒にバーベキューの準備をしてる。今日はさ、女子供はなんにもしなくて良いんだって!」
こう言ったのは弥生さんで、隣に座るマジョリカさんも『ありがたーい!』と笑っている。
双子の天使はバーベキューが楽しみらしく、二人でキャッキャとはしゃいでいた。
そんな中、マジョリカさんが私を視ながらこう聞いた。
『ねぇねぇ、さっきから気になってたんだけど、水渦のその髪すっごい可愛い! もしかして自分で結ったの?』
な!?
私が結うなどそんな馬鹿な!
「め、滅相もない、この髪はユリさんがしてくれました。私一人でこんなに綺麗に結えるはずがありません」
慌てて言うと、弥生さんも膝で歩いて傍に来た。
「この髪をユリちゃんが? へぇぇ! すごいじゃんかー! アタシも気になってたんだよ、めちゃくちゃ綺麗に結ってあるって! ちょっと後ろも見せてくれよ。ん? ダイジョブだ、水渦は照れんなよ、良いから後ろ向けって、……わぁ……! 細か……これどうなってんだ……? まとまってるけどフワフワしてて、なんつーか……レース編みみたいだな……」
うなじ辺りで声がする。
弥生さんは私の肩を両手で掴むと右に左に動かして、髪を眺めていつまでたっても離れてくれない。
そのうちに声がだんだん増えてきた。
「こういう髪も良いよな。イメージがガラッと変わった」←弥生さん
『すんごい可愛い! 水渦に良く似合ってるよぉ』←マジョリカさん
「でしょでしょー! 水渦さんにぴったりだと思うんです♪」←ユリさん
「ミーズのみちゅあみ、ふわふわねぇ、かあいいねぇ」←弥春君
「ミーミー、おひめさまみたいねぇ、ちれーだねぇ」←茉春ちゃん
ど、どうしたら良いのだろうか。
美女三人と天使二人から褒め殺しにあっている。
一生分の賛辞をもらってなんだか胸がくすぐったい。
じわりじわりと嬉しい気持ちが湧き上がり、私の髪を結ってくれたユリさんと、褒めてくれるみんなに一言「ありがとう」と言おうと顔を上げたその時。
「ひぃ!!」
思わず悲鳴が漏れてしまった。
目線の先には大きな窓が、その窓の向こう側から巨大な顔が部屋を覗き込んでいる。
顔は毛むくじゃらだった。
白と黒の毛皮に覆われ、私を視ながらニヤリと笑い、そしてこう言ったのだ。
『ケケケ! オマエが水渦か! 俺の家族が世話になってるみてぇだな!』
この方とは初対面。
それでも噂は聞いている。
名乗りがなくてもすぐに分かった。
白がベースでつぶらな瞳を囲む楕円と鼻と耳が黒色の巨大パンダ。
そう、バラカスさんだ。
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