第二章 霊媒師こぼれ話_持丸平蔵と清水誠ー2

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AM9:04 (たけ)えよ。 とにかく(たけ)え。 『清水君、自分の机の上を片付けてちょうだい! ゴッチャゴチャじゃない! 社長の机がこんなに汚いんじゃあ、岡村君ビックリしちゃうでしょぉぉ!』 ジジィのテンションがマジ(たけ)え。 朝からずっとこの調子だ。 「うっせーなー、少しは落ち着けよ。今日来る子、……えっと、岡村君だっけ? 大丈夫だよ、面接で緊張してそれどころじゃねぇだろうから」 つーかよ、目に入ったとして、面接当日に「キタナイ机ですね」なんて言うヤツいねぇだろ(ミューズなら言いそうだけどアレは特別)。 でもまぁ、とにかくジジィがウルセェから何とかするか。 とは言えキチンと片付けるのはダリィ。 だから机の上のモノ、コレ全部段ボール箱にぶち込んで机の下に隠しちまえば……よっしゃ! 完璧! キレイになった! 『なんだか緊張しますねぇ……岡村君、ちゃんと来てくれるかしら……』 ジジィはため息つきながら、その合間、印も組まずにいきなり霊力(ちから)を発動させた。 ピカッと手元が光った後、さっきまではなかったはずの花が現れたんだが、なんだって菊の花?  もしかして自分で自分にお供えかぁ? と笑っちまったが、そんなモンじゃあなかった。 思い詰めた顔をして、花びらを一枚一枚むしり出したと思ったら…… 『岡村君が……来る!(プチ)、来なぁい……(プチ)、来る!(プチ)、来なぁい(プチ)、来る!(プチ)……』(以下エンドレス) ブハッ! マジかよ! 花占い始めちまった! なんつー霊力(ちから)のムダ遣い。 しかも……んぷぷー! 最後の1枚が ”来なぁい” で終わって癇癪を起こしてる。 「オイオイ待てよ、良い大人が地団駄踏むな。占いなんざ良いコト以外は信じないって、いつもジジィが言ってんだろが。大丈夫、岡村君は来るよ。もし来なかったら俺が家まで迎えに行くさ。だから心配すんな」 俺にしたら珍しく、ちゃかさないで励ましたつもりだった、……なのにこのジジィときたら、 『ダ、ダメだよぉ! 清水君は身体が大きいんだから! 会った事もないのに、いきなり行ったら怖がっちゃうでしょぉぉ!』 とか言いやがる! 「だーーーっ! 俺の気遣い台無しじゃねぇか! いいか? 俺は身体がデカイだけ! ジジィみてぇな幽霊に絡まれるより怖くねぇわ!」 『ななな! 絡むなんて失礼なっ! 違いますぅ! 私はスカウトしたんですぅ!』 とまあココからしばらくジジィとバトル。 死んだからってちっとも変わらん。 生きてた頃とおんなじノリだ。 まったくよ、笑っちまうよな。
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