第二章 霊媒師こぼれ話_持丸平蔵と清水誠ー2

4/11
前へ
/372ページ
次へ
『だ、大丈夫ですよ、……霊力(ちから)もある、優しさもある、ココまでは確認済み。あとは対人能力だけど……うん! ある! きっとありますよ! そんな気がしてきました!』 はぁぁぁぁ……テキトウこいてんなぁ。 ジジィお得意の、 秘儀! ”出たトコ勝負!” かぁ? 「はいはい、分かったよ。どっちにしたって、岡村君が来る前にどうこう言っても、ホントの所は分からねぇ。面接でその辺ガッツリ霊視すりゃあ良いだろ。だがよ、言っておくが、どんなに霊力(ちから)が強くても、適正がないと分かれば雇わねぇからな。イジワルで言ってんじゃねぇ。優しいだけで出来る仕事じゃないからだ。無理をさせれば岡村君を危険に晒す、」 ココロを鬼に、浮かれるジジィに釘を刺して予防線を張ってみる。 ま、ジジィも本当は分かってると思うけど、念の為な。 『分かりましたよ! フン! ダイジョブだもん、絶対適正あるもん、ウチの子になるんだもん。それより! 岡村君が来たら私の事 ”ジジィ” って呼んじゃダメだからね! 清水君の事は ”おくりびの新社長” ですって紹介する予定なんだから! 社長がそんな言葉使いじゃあ、引かれちゃうかもしれないもん!』 短い手足をバタバタさせて、朝から一体いくつ目だ? あーしろこーしろ注文が山盛りだ。 つか、必死だな。 岡村君にベタ惚れじゃねぇか。 「あーあー、うっせーなー。分かったよ、ジジィって言わなきゃ良いんだろ? まったく、最初だけ取り繕っても後でバレるっつーの。……な、なんだよ、その目は、泣きそうじゃねぇか。わ、分かったよ! ちゃんと行儀良くするから! ”ジジィ呼び” もしねぇし、話す時も依頼者応対とおんなじようにするからよ。それなら安心か?」 コクコクコクコク! ははっ! 分かりやすいジジィだな。 ま、もしよ、霊力(ちから)もある、優しさもある、対人能力もある……とまぁ、霊媒師の ”猪・鹿・蝶” が揃ったヤツなら、ダイヤの原石なんてモンじゃねぇ、それ以上の人材だ。 ダメで元々、俺のこの目で確かめてやる。 …… ………… そんなこんなでジジィと2人で大騒ぎ。 あっという間に時間が過ぎて、時刻は9時52分。 約束したのは10時だから、そろそろ来るかもしれねぇな……と思っていたら。 プルル! ビジネスホンの内線呼び出し、 「『キターーーーーーーーーーーーーーーー!!』」 俺は机にダイブして、ワンコールで受話器を上げた。 それをすかさずジジィの耳に当ててやる____と、 『岡村英海(ひでみ)君でしょ? よく来たね! 待ってたよ! ドア開いてるから! 入ってきて!』 弾む声で、岡村君を呼び入れた。
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

474人が本棚に入れています
本棚に追加