第二章 霊媒師こぼれ話_持丸平蔵と清水誠ー2

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◆ ____コンコン 控え目な音の後、一拍置いて扉が開くと細身の男が立っていた。 男は事務所の中に目線を飛ばし、俺らを見ると頭を下げて、 「失礼します」 と静かに一歩前に出る。 この子が岡村君か……へぇ。 なんつーか……どこにでもいそうな普通の男だな。 背は高くもねぇが低くもねぇ。 痩せ型で筋肉質とは言い難い。 スーツは紺、靴とカバンは無難な黒色。 頭は茶髪で目立つけど、染めた感じじゃなさそうだ(やたらツヤツヤしてるしよ)。 全体的にすげぇ地味、モブ感がハンパねぇ。 …………えっと……、この子ホントに霊力者? 地味だし、気も弱そうだし、霊力者って……もっとこう……なぁ。 ウチの会社の連中みてぇに、気が強そうとか、我が強そうとか、すぐに喧嘩を始めそうとか、そういうの一切ねぇじゃん。 こんなんでダイジョブか? ジジィには(わり)いが、適正なければ採用はしねぇから。 なんてコトを考えてると、 『良く来てくれたねぇ!』 ハイテンションの幽霊が転がるみてぇに割り込んできて、岡村君にササッと右手を差し出した。 すぐに分かった、こりゃアレだ、握手を求めて手を出したんだ。 マジか、いきなりコレか。 ____岡村君はね、幽霊にさわれるのっ! 霊体への物理干渉。 ジジィが1番騒いでたヤツ。 どんなに霊力(ちから)が強くても、小細工無しに干渉は難しい。 そんな霊媒師(ヤツ)、俺は見た事がねぇ。 だがしかし、ジジィが言うには岡村君はそれが出来ると、だから是非ともウチの会社に迎えたいと、……まぁ、にわかには信じ難いが、ジジィは嘘は言わねぇからな。 とりあえず、俺のこの目で確かめて……って、うぁあ!? ヤ、ヤベェ……!! あやうく大声出すトコだった……!! 俺の目の前。 岡村君は自分のスーツで手を拭いて、それでよ、ジジィとよ、ガッチリ握手をしやがった! 差し出されたジジィの手のひら、それをしっかり握ってるんだ……! 信じてなかった訳じゃねぇが…………マジで……? 見間違いじゃあ……ねぇよな? うまい具合に手を合わせてるだけ……とも……チガウよな?
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