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『いやあ! 岡村君みたいな有能な人材が来てくれて本当に嬉しいよ!』
横目でチラチラ俺を視ながら、得意そうにジジィが言った。
くっ……!
聞こえる……聞こえるぞ……ココロの中のジジィの声がっ……!
____ほぉれ、ほぉれ!
____目ん玉視開いてよぉぉぉく視てみなさい!
____岡村君、私の手を握ってるでしょぉぉぉ?
____ハイ、採用! 即採用!
____こんな子、他にいませんからっ!
____視つけた私、エライでしょ? お手柄でしょ?
____この子とは運命の赤い糸で繋がってますからぁっ!
ギュウゥゥゥゥッ!
ジジィは調子に乗ったのか、チカラを込めて岡村君の手を握る。
握られた岡村君は、……んぷぷーっ!
ビックリしてるじゃねぇか!
そりゃそうだ、あんなナリしてジジィは武闘派。
片手でリンゴを余裕で潰す(俺は指で潰すがな!)。
手加減はしてるだろうが、岡村君の干渉スキルを視せる為、わざとギューギューしてるんだ。
「こちらこそ、お声をかけて頂きありがとうございます」
額に汗をうっすら浮かべて、無難な返事の岡村君。
俺はもう釘付けだった。
視れば視るほど目が離せない。
互いの手指が食い込むくらいにガッチリ握手。
スゲェな……まるで生者同士の握手じゃねぇか。
完全に捉えてる、物体として捉えてる。
さわれるとは聞いていたけど、まさかココまでとはな……こんなの、誰が想像出来るんだ。
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