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『じゃあ、そろそろ面談と入社手続きを始めようか』
長い握手が終わった後に、さっそくジジィが切り出した。
ジジィ、相当ガッついてるな。
”面談” はともかくとして、”入社手続き” 言い出した。
霊力があっても適正なければ雇わねぇ、そう言ったじゃねぇか。
なのによ、忘れたふりをしてやがる。
とは言っても……気持ちはワカルけどな。
話で聞くのと実際に視るのとじゃ全然違えよ。
あんな握手視せつけられたらココロが踊る。
いや、なんなら今すぐ踊りてぇ。
テンションも上がるっつの。
『岡村君、こちら私が死んだ後に新しく社長に就任した清水君。年は34歳だから岡村君より少し上だね。元格闘家で高い身体能力と霊力を併せ持つ格闘系霊媒師だ。岡村君の教官になる予定だよ』
ジジィが俺を紹介すると、岡村君は背筋を伸ばして頭を下げた。
俺は思わず ”そんなに固くなるこたねぇよ!” と、危うく喉まで出かかったんだがジジィとの約束だ、ココはひとつ行儀良くいこうじゃねぇか。
とは言っても岡村君、チョット緊張してるかな?
乱暴にならないように、適度なフランクさが良いだろう。
「岡村君だったよね? こちらこそよろしく。先代から話は聞いてたけど君スゴイねぇ!」
マジで凄かった。
だからそれを直球で言ってみたんだが、
「えっ? 何がすごいのでしょうか……?」
ははっ!
本人なんにも分かっちゃねぇや。
この子、面白えな!
「いや、握手だよ! さっき先代としてただろう?」
「はい、してましたけど、それがなにか……」
んぷぷー!
”それがなにか……” じゃねぇだろ!
こんな霊力を持ってるクセに、すっとぼけたコト言いやがって!
仕方がねぇ、ちっと教えてやるか。
「昨日、先代が話してくれたんだ。『私の姿が見えて、話せて、触れる男に会ったよ!』ってね。並みの霊力者では霊体に触る事はまず出来ない。なのにさっきの熱い握手は “触れる” 程度のレベルじゃない、完全に物体として捉えてる。たいした霊力だ。なぁ、岡村君。君の目に先代はどう映っているの? 半透明? それともはっきり見えてる?」
聞けば、これもやっぱり驚いた。
岡村君はキョトンとしながら ”生きてる人と変わらない” と言ったんだ。
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