第二章 霊媒師こぼれ話_持丸平蔵と清水誠ー2

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____入社手続きしちゃいましょう! このコトバを聞いた途端、 ぱぁぁぁぁぁ! ジジィの笑顔が炸裂した。 ははっ! そんなに嬉しいのかよ! ま、ジジィが視つけてきたんだもんな。 そう言やあ、ジジィが誰かをスカウトしてくるなんて久しぶりじゃねぇか? 『よし、わかった! 岡村君、ここに座って! 今から職務経歴を霊視させてもらうよ!』 なんだよジジィさっそくか! 俺も興味バリ沸きだし、アレもコレもぜーんぶまとめて視ちゃってくれよ! ……って、オイ大丈夫か? 岡村君、青い顔して汗掻いてるよ。 はっはーん、緊張してんのか、(ピコーン! そーかそーか、まかせとけ! 俺が緊張といてやる! なんてったってウチの社員になるんだ、社長の俺がサポートしねぇでどうする!   「顔色悪いけど大丈夫? 緊張してるのかな? よし、ここはひとつ俺がリラックスさせてあげるから。なに、今あるストレス以上の負荷を与えれば問題解決だよ」 とりあえず椅子回すか! 会社にいながらアトラクションだ! なんかよ、岡村君ってよ、遊園地とか好きそうだよな(根拠はねぇが)。 だからコレで楽しくなれば緊張がとけるはず。 本当は野郎だし、張り手の一発でも決めてやろうと思ったけど、岡村君はそーゆーのに非対応っぽいし。 景気良く椅子回しをしていると、ジジィの準備が出来たみてぇだ。 『じゃあ、始めるけど気楽にしてね。見るのは職務経歴だけでプライベートな事は覗かないから大丈夫だよ!』 「あーーーーはぃぃ、ょぉぉろしくお願いします……だぁぁぁけど、僕どうしたらぃぃぃのでしょうかぁぁ?」 岡村君は……うーん、緊張がとけたのか溶けてねぇのかイマイチ分かんねぇ。 ま、大は小を兼ねるっつーし、もうちっと回しとくか。 ははっ! なんかすっげースピード出てきたな! もうコレ肉眼じゃ追えねぇわっ! だけどその分リラックス出来るだろ! ……とまあ、俺としちゃあ良い事してたつもりでよ、なのにジジィに怒られた。 『何もしなくて大丈夫。ただリラックスして座っているだけで良いから……って清水君! こんな時に悪ふざけはヤメテ! ジャマ!』 ダーーーーッ! ジャマってなんだよ! 岡村君を見てみろ!  緊張をほぐしてくれる、頼れる社長に感謝の気持ちでいっぱいの顔してんだろうがぁ! って…………あれ? あれれ? この子、ちょ、ヤバくねぇか?  フラフラしてるし顔真っ白だしウップウップ言ってるし……もしかして、リバース秒読み? あれ? あっれー? 回転椅子に酔っちゃった? ヤベェ、やりすぎたか……! と、とりあえず、病は気からだ。 気持ち悪いと意識したら途端に悪化する。 ここはひとつ親指を立ててだな、 「な! リラックスできただろ?」 ポジティブなコトを言ってみた。 岡村君はフラフラしながら、でも、俺に向かって(死にそうな)笑顔で頭をさげたんた。 ふーん、良いヤツじゃねぇか。
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