第三章 霊媒師こぼれ話_エイミーと大福

2/8
前へ
/372ページ
次へ
神社からの帰り道________ 「大福、」 『うなぁん』 「大ちゃん、」 『うなぁ』 「ふくふく、」 『うなうな……?』 「お姫さま、」 『うっなーん♪』←きゅるん & キラキラキラキラ か、可愛いーーーーーーーーーーーーーーーーー!! なんだこれ……!(ドキドキドキドキ) 天使だ……ここに天使がいるんですけどーーーー!! 僕の隣をテチテチ歩くは尻尾の先が小さく分かれた二尾の猫又。 霊媒師になって一週間、今日は初のお休みだ。 天気も良いし、のんびり近所を散歩しようと来てみた神社で……この仔、大福と運命の出逢いを果たしてしまった……! ああ……マジ天使。 白くてフワフワ、推定5キロの(いや、6キロか?)ゴージャスボディはどこから視てもまん丸で、ちっちゃなお顔、宝石みたいなキレイなおめめ、ピンクのオハナはさわるとシットリ湿ってて、マズルはフコフコ(オハナの下の→ω こんなトコ)、そのマズルから一丁前にオヒゲなんぞを生やしちゃってケシカラン。 てか……てか……キャーーーー! カワイイ! ゴージャス! エンジェル! フェアリー! ビュリホー! ふわふわ! ツヤツヤ! 360度、全方向パーフェクトプリティ! 要するにマーベラスゥゥゥッ! スゥゥゥ……スゥゥ……スゥ……(自己エコー)………………どうしよう、気持ちが上がって仕方がないよ。 テクテクしながらデレッと下を視てみれば、白い毛玉の背中とオシリがフワモコで、長い尻尾がゆっくりゆっくり左右に揺れてる。 ………………ああ、可愛い。 どうしようもないくらい可愛い、愛が溢れてとまらない。 「大福……、」 『うなぁん、』 「大ちゃん……!」 『うなん……!』 「ふくふく!」 『うなうな?』 「お姫さまーーー!」 『なーん!』←おめでとー!(なにが?) ああ、名前を呼ぶたび愛しさがダーダーこぼれる。 たまらなく幸せだ。 これから一緒に暮らせるなんて、これは夢じゃなかろうか。 もしも夢ならこのままずっと見ていたい。 ま、夢だろうと現実だろうと、この仔を一生大事にするのは変わらない。 というコトで、僕が最初にするべきは…… 「大福、オウチに帰る前にスーパーに寄って行こう。そこで良いササミを買うんだ。もちろんそれは大福のゴハンだよ。今日は出逢った記念日だからね、ごちそうにしよう」 身を屈め手を伸ばし、5キロのお姫を抱き上げる。 氷みたいな冷たい霊体(からだ)がずっしり重くて、だが、この重さがたまらない。 「さぁ、れっつごー!」 『うっなーん!』 そして僕らはごちそうのササミを買うべく、仲良くスーパーへと向かったのだ。
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

474人が本棚に入れています
本棚に追加