第三章 霊媒師こぼれ話_エイミーと大福

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”ねこねこチェック” の結果はいかに。 ドキドキしながら ”ごうかく発表” を待っていた……が、勿体ぶってなかなか発表してくれない。 大福は僕をチラチラ横目で視ながらんべんべと毛繕いをしてみたり、誰もいない壁を視上げて意味ありげに鳴いてみたりと(ちょ……コワイから)、焦らしのテクが上級だった。 ………………しかし可愛いなぁ(デレデレ) チラッチラッと僕を視て、長いしっぽをフリフリさせてる。 イタズラ顔で勿体ぶって、なんだかすごく楽しそう。 早く合否が知りたいけど、でも、楽しそうなこの仔を視てると、それだけで幸せだ。 うんうん、良いさ、好きなだけ勿体ぶれば良いよ。 僕、ずーっと待ってるから、ガチで10年視てられるから。 10年は視守ろう……と思っていたのに。 勿体ぶるのに早くも飽きた大福は(猫は飽きっぽい、だがそこ()良い)、テチテチ歩いて僕の前までやってきて、 『うなぁ……うなぁ……うっなーん!』←うなぁ……うなぁ……ごうかくー! 立っちのバンザイ、鼻血が出そうなカワユイポーズで ”ねこねこチェック” のごうかくを発表してくれたのだ!(やったねー!) 「わぁぁぁ! めちゃくちゃ嬉しいぃぃ! これから僕達、仲良く楽しく暮らしていこうね! さっきも言ったけど、ここはキミのオウチでもあるんだ。危ない事以外なら何をしたってかまわない。ワンルームで狭いけど、ベッドでもなんでも好きに使っていいからね。それと、なにか欲しいものはない? キャットタワーとか爪とぎとかオモチャとか、なんでも買ってあげる! あ、でも僕、先週転職したばかりなんだ。だから初お給料が出てからになるけど考えておいてね!』 ちっちゃなカワイイ頭頂部。 そこにぶちゅーの豪雨を降らせ、どさくさ紛れに抱っこと頬ずり。 僕は幸せを噛みしめていた。 幸せ! チョー幸せ! このアパートはペット禁止で、ここに住んでるかぎり猫を飼うのは諦めていた。 僕の実家は家族そろって猫好きで、幼い頃からずっとそばに猫がいたから、猫が足りずに淋しい思いをしてたけど……それがどうよ! まさに運命……!  猫は猫でもユーレー猫に出会ってしまった! 霊力(ちから)を持たない一般人には、カワユすぎる尊いお姫が視えないの。 姿だけじゃない、”うなぁ” と鳴く声、テチテチあるく足音さえも聞こえないし、隣の部屋の住人さんが猫アレルギーでも猫又だから影響無し。 僕にはこの仔が視えるけど、ほかの人には視えない猫又。 これすなわち、大福なら一緒に住んでも誰にもバレない! ペット禁止の物件も、猫又ならぜんぜんオッケーなのだっ! ひゃっほーい!
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