第三章 霊媒師こぼれ話_エイミーと大福

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愛しい猫に誓いを立てて、抜き足差し足……僕はキッチンへと移動した。 壁にかかったエプロンをさっと着け、鍋を取り出しお水を張ったらガスコンロに火をつける。 お湯が沸いたらササミを茹でよう。 塩もなんにも入れないで、茹でたら取り出しほぐすんだ。 ちっちゃな口でも食べやすいよう、……と言ったって、大福はユーレー猫で、実際には食べられない。 生者の僕が「召し上がれ」と言ってあげたら、お口の中にササミの味が広がるだけで、噛んだりは出来ないの。 だから、茹でたまんまでほぐさなくても、広がる味はおんなじだ。 でも良いの、ほぐすの、お姫の為ならなんだってしてあげたい。 大好きだって伝えたい。 ココロの中で鼻歌うたって、ちまちまちまちまササミをほぐす。 大福が食べ終わったら、これにキュウリとトマトを追加して、バンバンジーに進化させたら僕がそれをいただこう。 フフンフフンと鼻歌を数曲歌って手を動かして、そうこうしてたら僕の背後に、 『うなぁ、…………くっふぁぁぁぁぁん……(むちゃむちゃ)』 カワイイ声で僕を呼ぶ声……の、途中からアクビに変わってむちゃむちゃ言ってるお姫さまの登場だ。 「おはよう。よく寝てたねぇ」 『うな』 「ぐっすり眠れた?」 『うな』 「そうか、良かった。ねぇ、おなかすいてない? ササミを茹でたんだ。一緒に食べようよ」 『うなっ! うななー!』 「あはは、喜んでくれて嬉しい」 『う・な・な ! う・な・な !』 「や、ちょ、”ササミコール” するほど好きなの? よーし、じゃあ明日もササミにしよう!」 『うなーーーー!』 出逢った記念のササミパーティー。 僕と大福、食べて飲んでの(僕はハーブティー、大福は白湯)楽しい時間にそろってはしゃぎ、嬉しくて幸せで、フィーバーしっぱなしだった。 可愛い大福、可愛いお姫、愛しくてたまらない二尾の猫又。 この仔をずっと大事にしよう、この仔をずっと守っていこう………… ………………と、この時は知らなかったんだ。 このカワユイお姫さまが、強い妖力を持つ選ばれし猫又だってコトを。 この先僕は、この仔に何度も助けてもらうコトになるのだが…… それは今からそう遠くない、未来のお話なのだ。 第三章 霊媒師こぼれ話_エイミーと大福____了 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ★こそっとお知らせとお礼です。 エイミーと大福編、最後まで読んでいただいてありがとうございました。 なんと今回、文字数が6700文字弱で目標の1万字以内に収まりましたー! 次回もこの調子でいきたい、いけるかな、いけるといいな(弱気です)。 そして、前に描いた猫のあくびのイラストが作中の大福のあくびにちょうどいいと、こちらにも貼り付けました。 すでに見てくださった方は……何度も見せちゃってすみません💦 次回のお話は……エイミーがおくりび入社前に付き合っていたカノジョとのエピか、弥生が飲んだくれてるエピかで迷ってます……って、そのうちどっちも書くと思うのですが、どっちを先にするか決まり次第書こうと思います(*´▽`*) いつも読みに来てくださってありがとうございます。 本気で励みになってます。 めちゃくちゃ感謝申し上げます(*´ω`*) 大福あくび ↓cf7193af-0841-4247-9387-ef6dbefdc198
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