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◆
杏ちゃんとの楽しいデートの次の日。
珍しく外出予定のない僕は、自分のデスクで見積書を作成したり、プレゼン資料を集めてみたり、はたまた、お客様のお誕生日にお手紙を書いてみたりと、なんやかんやで忙しかった。
営業は基本、外出ばかりだからね。
こうして会社に丸1日いられるなんて、月に数度の貴重な日でさ。
だから、溜まった仕事を出来る限りやっつけておきたいのだ。
カタカタカタカタ……←キーボード打つ音
カリカリカリカリ……←手書きで文字を書く音
カタカタカタカタ……←キーボードに戻った
カチッカチッカチ……←マウスクリックの音
締め切りの近い順から手を付けいく。
なるべく急ぎで、でもミスはなく、……特にさ、見積書は要注意だ。
数字とか宛名とか、そういうのを間違えちゃうと大変な事になるから。
やらかせば僕ひとりの謝罪じゃすまない、上司を巻き込み大騒ぎになってしまう。
それになによりお客様に迷惑をかけてしまう。
それが1番イヤかな。
だから集中、気を張っていかなくちゃ。
………………とは言っても。
作業時間が長くなると集中力が切れてくる。
頭はぼんやりしてくるし、座りっぱなしで肩も腰もバキバキしてくる。
おまけに、
カタ、カタタ、タタ……←タイプミスの音
カリ、……………………←手書きだと漢字調べるのに中断頻発
カタ、カタ、タタ、……←タイプミスさらに増えた
カチッ、カチッ…………←誤クリックもし始めた
疲れのせいかペースが乱れて効率ダウン。
んー、ダメだ。
こりゃ少し休憩した方がいいわ。
ココで無理して頑張ってもさ、ミスすりゃ後から倍の時間がかかるんだ。
ヨシ!
ここはひとつ、コッソリ抜け出し2階に行こう!
自販機もある休憩スペース、そこで10分休憩だ!
……
…………
………………
エレベーターを使わずに階段で降りていく。
1階分の下りだし、それにさ、座りっぱなしは身体に悪いし、少しでも運動しようと思ってさ(そんなに運動にならないけど)。
階段を降り、左手に進んでいくと大きな窓の休憩スペース。
自販機2台と壁際には4人掛けのベンチがあって、混んでなければ座る事も出来るんだ。
昨日は貸し切り、僕と杏ちゃんしかいなかったけど、今日は……あっ!
見ればそこには先客がいて、目が合ったその人は僕を見るとニコーッと笑って手を振った。
「お! 岡村じゃん! なんだよサボリに来たのか? 不真面目なヤツめ。仕事中だぞ!」
そこにいたのは僕の同期の五十嵐君。
部署は違えど入社の時から気が合って、時間が合えば飲みに行ったりゴハンに行ったり、会社の愚痴からレンアイ話となんでも話せる仲なんだ。
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