第四章 霊媒師こぼれ話_エイミーの元カノ

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◆ 杏ちゃんとの楽しいデートの次の日。 珍しく外出予定のない僕は、自分のデスクで見積書を作成したり、プレゼン資料を集めてみたり、はたまた、お客様のお誕生日にお手紙を書いてみたりと、なんやかんやで忙しかった。 営業は基本、外出ばかりだからね。 こうして会社に丸1日いられるなんて、月に数度の貴重な日でさ。 だから、溜まった仕事を出来る限りやっつけておきたいのだ。 カタカタカタカタ……←キーボード打つ音 カリカリカリカリ……←手書きで文字を書く音 カタカタカタカタ……←キーボードに戻った カチッカチッカチ……←マウスクリックの音 締め切りの近い順から手を付けいく。 なるべく急ぎで、でもミスはなく、……特にさ、見積書は要注意だ。 数字とか宛名とか、そういうのを間違えちゃうと大変な事になるから。 やらかせば僕ひとりの謝罪じゃすまない、上司を巻き込み大騒ぎになってしまう。 それになによりお客様に迷惑をかけてしまう。 それが1番イヤかな。 だから集中、気を張っていかなくちゃ。 ………………とは言っても。 作業時間が長くなると集中力が切れてくる。 頭はぼんやりしてくるし、座りっぱなしで肩も腰もバキバキしてくる。 おまけに、 カタ、カタタ、タタ……←タイプミスの音 カリ、……………………←手書きだと漢字調べるのに中断頻発 カタ、カタ、タタ、……←タイプミスさらに増えた カチッ、カチッ…………←誤クリックもし始めた 疲れのせいかペースが乱れて効率ダウン。 んー、ダメだ。 こりゃ少し休憩した方がいいわ。 ココで無理して頑張ってもさ、ミスすりゃ後から倍の時間がかかるんだ。 ヨシ! ここはひとつ、コッソリ抜け出し2階に行こう! 自販機もある休憩スペース、そこで10分休憩だ! …… ………… ……………… エレベーターを使わずに階段で降りていく。 1階分の下りだし、それにさ、座りっぱなしは身体に悪いし、少しでも運動しようと思ってさ(そんなに運動にならないけど)。 階段を降り、左手に進んでいくと大きな窓の休憩スペース。 自販機2台と壁際には4人掛けのベンチがあって、混んでなければ座る事も出来るんだ。 昨日は貸し切り、僕と杏ちゃんしかいなかったけど、今日は……あっ! 見ればそこには先客がいて、目が合ったその人は僕を見るとニコーッと笑って手を振った。 「お! 岡村じゃん! なんだよサボリに来たのか? 不真面目なヤツめ。仕事中だぞ!」 そこにいたのは僕の同期の五十嵐君。 部署は違えど入社の時から気が合って、時間が合えば飲みに行ったりゴハンに行ったり、会社の愚痴からレンアイ話となんでも話せる仲なんだ。
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