第四章 霊媒師こぼれ話_エイミーの元カノ

8/27
前へ
/372ページ
次へ
新人が三位に入った! これはめでたい! お祝いしよー! ……という口実で、当時の上司が飲み会を開いたの(とにかくお酒が大好き、何かと言っちゃあ飲み会を開く)。 営業一課だけでなく、いろんな部署に声をかけて、その時に杏ちゃんも参加したんだ。 最初、杏ちゃんは遠くの席で、話す機会もぜんぜんなくて、相変わらす可愛いなぁとか、まわりに人がいっぱいだ、とか、そんなコトをぼんやり考えてたの。 そのうち……飲み会も終盤に差し掛かったところで、 ____今月は今年入社の岡村君が頑張ってくれたんだ! ____なんと売り上げ第三位! ____いやぁ大したものだよ!  ____これからもこの調子で頼むな! ____さぁ、岡村くんの頑張りにみんな拍手ー! ワー! パチパチパチパチ! なんて……もー、お酒も入ってほろ酔いだから、大袈裟にそんな紹介されちゃって、僕がアワアワ慌てていると、いつの間に隣に来ていた杏ちゃんが、話しかけてくれたんだ。 ____岡村さん、三位なんてすごいですねっ! い、いや、まぐれだよ、 ____研修の時はお話出来なかったけど……杏、岡村さんとお話してみたいなぁって思ってたの。 ほ、ほんと?  ____そうだ! 杏とラ〇ンの交換しない? え! いいの? も、もちろんだよ、 ____岡村さんってカノジョさんとか……いるんですか? い、いないよ! 僕、今は仕事でいっぱいいっぱいだから……それにモテないし、 ____ふうん、そうなんだ……ヨカッタ、 え、なんか言った? ____ううん、なんにも!  そ、そか、 その日の夜に杏ちゃんからラ〇ンが来て、次の日には夕飯を一緒に食べた。 次の日もまた次の日も、なんだかんだと一緒にいてさ。 そんな事を繰り返した翌月に……僕らは付き合う事になったんだ。 信じられない……あの一番人気の杏ちゃんが、僕の彼女だなんて。 それから、僕は今まで以上に仕事を頑張るようになった。 営業で結果を出せば、杏ちゃんが褒めてくれる。 すごいね、頑張ったねって笑顔を見せてくれるから、それがすっごく嬉しくて。 杏ちゃんがいなかったら、ここまで仕事を頑張る事は無かったと思う。 優しくて可愛くて、僕はなんどもあの笑顔に励ましてもらったの。 僕にとって杏ちゃんは奇跡、その杏ちゃんが困っているなら、今度は僕が助けたい。
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

474人が本棚に入れています
本棚に追加