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会社のある東京都N区から僕の住んでるF市までは電車でだいたい45分。
駅に着いたらアパートまでは歩いて5分の近さだけれど、その前に、足をのばしてスーパーに立ち寄った。
疲れているけど頑張らないと、食料は食べつくしちゃって家にはなんにもないからね。
……
…………
スーパーからの戦利品。
夜の時間はお得なセールで、うっかり色々買ってしまった。
エコバックをパンパンに膨らませ、鍵を取り出しドアを開け、
「ただいまぁ、」
なんて言ってみる。
一人暮らしの淋しいアパート。
誰もいないし部屋は真っ暗、それでもついつい独り言ち、手探りで電気をつけた。
「あー、帰ってきたー。やっぱり家に着くとホッとするな」
言いながらテレビを着けてカーテンを閉める。
スーツをポイポイ脱ぎ散らかして、楽な部屋着に早着替え。
着替えが終われば戦利品の袋を持って、中身を分けてしまってく。
これは冷蔵庫、こっちは冷凍庫、それからこれは棚の中。
今夜はナッツが安かった。
身体に良いから2袋も買っちゃったよ。
牛乳重かったな、でもね、これがないとカフェオレが作れない。
それで最後は……コレ! お弁当を買っちゃったんだ!
自炊しないでお弁当、手抜きだなぁと思うけどたまには良いよね。
だって安くて美味しいし、食べた後は洗い物もないなんてサイコー!
今日はね、デスクワークを頑張ったからご褒美だ。
……
…………
………………
「ごちそうさまでしたぁ! ああ、おなかいっぱい! 幸せぇぇ!」
おなかをさすってお茶を飲む。
つけっぱなしのテレビの中ではバンドが歌を歌ってて、あ……この曲、杏ちゃんが好きなやつだと思い出す。
昼間、五十嵐から聞いた事が本当なら、杏ちゃんは今辛い状況なはずだ。
部署の中で浮いている、その原因はなんだろう?
杏ちゃん、僕になんにも言わないから……気づいてあげられなくてごめんね。
電話、……今してみようかな。
時間は22時を過ぎた所で、この時間なら起きてるはずだ。
本当は会って話したい、だから明日でもいいのかなって思うけど、僕の方が心配なんだ。
スマホの画面、杏ちゃんのアドレスをタップした。
呼び出し音が1回、2回、3回4回、……お風呂かな? と思ったところで声が聞こえた。
____英海?
「あ、出てくれた! 良かったぁ。ごめんね、遅い時間に。今少し話しても平気?」
____うん、ダイジョウブだよ。杏もね、英海とお話したいなぁって思ってたの、
「ほ、ほんとう? ……ありがと、杏ちゃんは優しいね」
さぁ、なんて言って聞き出そう。
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