第四章 霊媒師こぼれ話_エイミーの元カノ

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かつてない早さで会社に戻り、最低限の残務をこなしてパソコンをシャットダウン。 着々と退社準備をしていると、渋い顔した課長がトボトボと近づいてきた。 え……? なに……? 今夜は帰るからね、残業もしないし、飲みの誘いも断るからね、……とバリバリの警戒モードで構えていると。 「岡村君、……はぁぁぁぁ……」 ちょ、なに? 人の名前を呼んだ途端にため息? も、もしかして、僕、なにかクレームついちゃったとか!? ドキドキしながら課長の話の続きを待った。 課長は渋い顔、というより怒ってる? いや悲しんでる? なんとも言えない苦悩顔だ。 「はぁぁぁぁ……岡村君、帰る所なのに悪いね。5分だけ良いかな、」 ま、またため息だ。 だ、大丈夫かな、僕、やっぱりなんかやらかした? 心当たりはぜんぜんないけど不安になるよ。 「な、なんでしょう?」 「あのな、正式には今週末に辞令が出る予定なんだが、岡村君は抱えてるお客様が多いからオフレコで伝えておこうと思って」 抱えてるお客様が多い……? オフレコ……? なんの話だ……? 「はぁぁぁぁ……上のヤツらは業務の事を何も分かってないよ、はぁぁぁぁ……あのな、人事異動の辞令が出たんだ。来月1日をもって岡村君は移動になる」 「はぁっ!? ウソ! 僕が!? どこに!?」 敬語もへったくれもない、ウッカリでちゃったタメ口だけど、課長は気にする様子もない。 それどころじゃない顔だ。 「俺だってウソだと思いたいよ。岡村君は営業一課のエースなのにさ。岡村君が抜けた穴をどーやって埋めりゃあ良いんだよ……! まったくなぁ……上はなんも分かっちゃいないよ」 「マジか……本当に移動なんだ……僕、営業の仕事好きなのに……それで、どこなんですか? 僕の次の移動先は」 心臓がバクバク鳴ってる。 移動先が気になって仕方がない。 また営業絡みだといいな、なんなら営業二課とか三課とか、そういうんだと良いな。 淡い期待を抱きつつ、課長の顔を見つめていると…… 「岡村君の移動先はコールセンター部門。”お客様相談センター” に決定してる」 ”お客様相談センター” って……あの有名な? 配属された社員の半分は胃痛に悩み、移動願を出す人続出の? クレーム対応専門部署……! マ、マジか……ウソだろ……?
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