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シン………………
「………………」←僕
「………………」←杏ちゃん
「………………」←茉奈ちゃん
3人顔を交互に見ながら固まった。
無理もない、だって空気がおかしいもん。
ピリピリしちゃって肌にめっちゃ沁みてるもん。
「……えっと……僕、帰るトコだったんだ。その前に何か飲もうとココに来て、それで……2人の声が聞こえてさ。……ごめん、立ち聞きみたいになっちゃった」
いつまでも黙っていたって仕方がない。
立ち聞きのお詫びもかねて勇気を出して言ってみた。
これにすぐに反応したのは茉奈ちゃんの方だった。
顔の前で両手をブンブン振りながら、
「いいのいいの! ここは休憩スペースで誰が来ても良い場所だよ? 岡村君があやまる事じゃないよ!」
眉をハの字に笑顔で言ってくれたんだ。
茉奈ちゃん……めっちゃ良い子だな。
五十嵐からいつも聞いてるよ、”気遣いの出来る優しい子” だって。
本当にその通りだ。
「茉奈ちゃん、ありがとね。2人の話、……聞いちゃったから、大体の事情は分かったつもり。それでね、たぶんまだ言いたい事がたくさんあると思うんだけど____」
言いながら目線をずらして杏ちゃんを見た。
さっきから黙ったままだ。
そっぽを向いて目も合わせずに、小さく指を噛んでいる。
「無理を承知のお願いだけど、今夜は僕に預けてもらえないかな? 杏ちゃん、いつもとぜんぜん様子が違うもの。このままだと、ちゃんと話が出来ないと思うんだ。僕から事情を聞いてみるから、その事、明日にでも茉奈ちゃんに話すから。……ダメかな?」
どう見たって不貞腐れてる杏ちゃんを、庇うつもりは……正直あるけど、さっきみたいな喧嘩腰では拗れるばかりだ。
ここは一度、リセットをかけた方が良いと思うんだよね。
茉奈ちゃんは杏ちゃんをチラリと見た後、”いつもとまったく一緒だよ” とブツブツ言って(そ、そうなの?)、それでも……
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