第四章 霊媒師こぼれ話_エイミーの元カノ

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「…………そっか、………………、」 茉奈(まな)ちゃんは短く言って黙ってしまった。 でも、何度も小さく息を吸い……なんだ? なにか言いたい事でもあるのかな、でもなにも言ってこない。 五十嵐もおんなじで、黙ったまま、残った刺身をつまんでる。 「急にどうしたの? ……もしかして、榎本さんになんかあった?」 ふと思い浮かんで聞いてみた。 茉奈(まな)ちゃんは気持ちの優しいサッパリした子、興味本位でこういう事は聞かない子だよ。 それをわざわざ聞いてくるのは、なにか理由があるんじゃないの? 茉奈(まな)ちゃんは何かを言いかけそれをやめ、代わり、スマホを取り出しポチポチ操作。 そこから遅れた数秒後、僕のスマホに茉奈(まな)ちゃんからメールが届いた。 えっと……なぜにメール? 今、一緒にいるのに。 不思議に思ってメールの中身を見てみると、たった一行、どこかのサイトのURLが貼りつけてあった。 「これ、なんのURL?」 ポカン顔でそう聞くと、 「〇〇県✕✕市のタウンガイド。街とかお店とか、そういう情報が載ってるサイトだよ。ローカルだから地元の人達くらしか見ないらしいけど」 〇〇県✕✕市……と言えば、榎本さんの実家と同じだ。 「岡村君と別れてすぐ、榎本さん会社辞めたでしょ。あの時『英海(ひでみ)と別れたから辞めます!』って……ははは……最後に爆弾落として去ってったから、しばらく噂になったよね。覚えてる?」 ええ、ええ、覚えてますとも。 あの発言で、僕はしばらくヒソヒソされて大変だった。 正直、あんな事を言う子だとは思わなくって、けっこう、いやもう……ガチでショックを受けたんだ。 ま、そうは言っても社内は僕に同情的で、僕を非難する人は誰1人いなかった。 しかも、その翌月からは ”お客様相談センター” に移動になって、それどころじゃなくなったんだよね。 苦い思い出。 結婚しようと決心したのに、プロポーズも出来ないままで終わりを迎えた。 あれから誰とも恋をしてない。 縁がないのもあったけど、少し、怖くなったんだ。 この先、僕が誰かを好きになる……と言うのはないかもしれない。 もしも好きになれるとしたら、猫を被らず裏表のない女性(ひと)だ。 単純思考のドストレート。 正直で、なに考えてるのかパッと見だけど分かるような、そんな女性に出会いたい(無理だろうな……)。
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