第四章 霊媒師こぼれ話_エイミーの元カノ

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◆ 「じゃあまたな! 今度ウチに遊びに来いよ、岡村ならいつでも大歓迎だ!」 五十嵐が僕の腕をパシパシ叩いてそう言った。 楽しい時間はあっという間でお食事会はこれでお開き。 これからそれぞれ電車に乗って帰るんだけど、別れを惜しんでちょっとばかしの立ち話だ。 あの後……お食事会の後半に出た、榎本さんの話は有耶無耶に終わった。 僕が話題を意図的に変えた事で、茉奈(まな)ちゃんがそれ以上話を広げなかったから。 正直助かった。 榎本さんの話、それを笑って出来る程、僕の傷は……癒えてなかったみたいでさ。 今夜それに気づいてしまった。 まぁ……衝撃的な別れだったからねぇ……ははは……だと言うのに。 最後の最後の滑り込み、茉奈(まな)ちゃんは僕に向かってこう言ったのだ。 「さっき送ったURL、オウチに帰ったら見てみて。そこに榎本さんが載ってる。たぶんだけど、見た方が岡村君もスッキリすると思うんだ、」 眉をハの字に困ったように笑いつつ、意味ありげな顔をした。 返答に困るな……いつもなら、こんなゴリ押ししないのに。 「ん……時間があったら見てみるよ、……それより、2人共気を付けて帰ってね。僕も気を付ける、また会おう。今夜はすごく楽しかったよ」 曖昧な笑顔と曖昧な回答、今はこれが精一杯だ。 僕達は、最後に大きく手を振り合い、それを持ってお食事会は解散となったのだ。 …… ………… ……………… 「ただいまぁ」 誰もいない独り暮らしのワンルームに無事帰還。 おなかはいっぱい、食事はしなくてダイジョブだから、迷わずシャワーに直行だ。 熱いお湯でスッキリしたら、寝間着に着替えてリラックス。 いつものルーチン、猫動画をスマホで見ながらジャスミンティーをゴクリと飲んだ。 今夜は楽しかったなぁ。 料理もおいしく個室で落ち着く、またあのお店に集まりたいな、……なんて事を思いつつ、手は、自然と茉奈(まな)ちゃんからのメールを表示させていた。 このURL……このサイトに榎本さんが載っていると言っていた、……ん……気になる。 茉奈(まな)ちゃんにはああ言ったけど、やっぱりなぁ……少しだけ……見てみようかなぁ。 手にあるスマホの画面を見ながら、指を出したり引っ込めたり……なんだけど、最終的にはポチッとタップでサイトを開いてしまった。 画面が瞬時に切り替わる。 明るいブルーを基調としたトップページ。 ✕✕市のタウンガイド、街の情報が満載だ。 地方都市の✕✕市、駅周辺は色んなお店が所狭しと並んでて、オシャレなカフェ、雑貨、レストラン、服に靴に本屋さんも……そんな写真がセンス良く表示されていた。 その中でも……これは月替わりの特集記事だろうか。 ”今月のイチオシ!” と題されたそこには………… 【フラワーショップenomoto・代表:榎本杏さんインタビュー】 このタイトルと、そして、昔よりも大人びた……榎本杏ちゃんの笑顔があったんだ。
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