第四章 霊媒師こぼれ話_エイミーの元カノ

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____転機は5年前でした。父が倒れたんです。仕事中に意識を失いそのまま入院。なんとか持ち直したけど、今までみたいに仕事は出来なくなりました。花屋は意外と重労働です、年も年だし無理はさせられない。母から電話があって、会社を辞めて戻ってきてくれと言われました。本音を言えば悩みましたよ。仕事を辞めるのは良かったんです、ハッキリ言って向いてなかった。1日中机に向かってエクセルワード、これがホントに辛くってミスばっかりしてました。あ、当時の同僚のみなさんゴメンナサイ! 仕事よりも未練があったのは当時の彼です。あはは、不謹慎で申し訳ない。でも、すごく好きだった。あんなに優しい人は他にはいない、仕事の出来る営業マンで、売り上げはいつもトップ。でもね、それを鼻にかけたりしないの。謙虚で、感謝の気持ちを忘れない人。 ……………… ____私、本当はガサツなの。見た目が大人しそうだから、よく誤解をされるけど、短気だし、本音と建て前分けられないから空気が読めないってよく言われます(笑)。え? 地元の人達はそんなの知ってる? やだ! バレてたの!? なぁんて、ですよねー、とっくに本性知れてますよねー(笑)でもね、こんな私も可愛くしてた時期があったんですよ。東京の彼の前では猫被ってたんです。ええ、ええ、そうです。いわゆる ”ぶりっこキャラ” でした。あはは、笑いすぎです、似合わないとか言わないでください! まぁ、それほど好きだったんですよ。可愛いと思われたくて必死でした。 だからこそ……悩みました。両親の事、花屋のこれから、私にとってとてもとても大事な事です。母は電話で泣いてたし、すぐにでも帰ってあげたかった。でも、彼の事も大好き過ぎて諦められなかった。出来る事なら、彼と結婚して地元に戻って、花屋を一緒にやってほしい……そう、思いました。 杏ちゃん……もしかして、電話で突然、”結婚して” と言ったのは、そういう事だったのか?  僕に一緒にいてほしくて、花屋を一緒に継いでほしくて……あの頃、ご実家がそんな事になってるなんて知らなくて、だから僕はうまい返事が出来なかった。 黙った僕に、杏ちゃんはそれ以上言ってこなくて……ごめん、ごめんよ、きっとガッカリしただろう、心細く思っただろう、知ってれば、僕はあなたと結婚するって即答したのに、花屋だって頑張ったのに、なのにさ、 ____たぶん、事情を話せば結婚したと思います。彼はそういう人だもの。でもね、あえて事情は話さなかった。ウチの事情は抜きにして、私と一緒にいたいかどうかが知りたかった。あはは、勝手でしょう? でもほら、好きだったから、そういう理由で縛りたくなかったんです。その後は早かったですよぉ! 彼と別れて一人で帰ろう、そう決めた次の日から仕事を辞める数日間、嫌われる事に全力を尽くしましたから。私に未練を残さないよう、別れてせいせいしたと思われるよう、”ぶりっこキャラ” から ”悪役キャラ” になったんです! ……やだ、泣かないでよ、健気とかそんなの言わなくていいし、思い出したら泣いちゃうじゃない……ってもう、なんの話をさせるんですか。これ、花関係ないですよね、なんで恋バナばっかり聞くのかな? え? 面白いから? ちょっと! ひどくないですか? お詫びとしてウチのお花買ってください! バラの花100本、買ったらこの記事読んでる方にプレゼントして!(笑)  ……あはは、商魂逞しいな。 バラの花100本、サラッと売り込みしちゃってるし、本当にプレゼントになってるよ。 ほしい方はココから応募! ってフォームが出来てる。 杏ちゃん、君にはすっかり騙された。 ぶりっこキャラも、それから、最後の悪役キャラもそうだ。
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