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「4番卓は黒いリエコちゃんに白いシンジくんが寄り添ってる、カップルか? ありゃあきっとワケアリだね。それからホール中央、宇宙卓には白いシンジくんが3人、生きてる客らと一緒に飲んでるつもりっぽいわ。あと、…………コレ、言ってもいいのかな? さっきからママの隣に白いリエコちゃんがいるよ」
視たままを言った。
ママは前半ワクテカ顔で、でも最後、”ママの隣にリエコちゃん” と言った途端にビクゥッ! となった。
海千山千、恐れるものなどなにもない! って感じのママのクセしてカワイイな。
アタシの手前か、ママはクールにグラスを手に取りフォアローゼスを一口飲んだ。
そして優美に微笑むと、
「そう、私の隣にリエコちゃんがいるのね。右かしら、左かしら。それと視た目はどんな感じ?」
ヨユーを装いそう聞いた。
だからアタシは、カラアゲを一口で食べてから教えてやったんだ。
「(モグモグモグ)んとね、左側。ママの隣の空いてるその席(モーグモーグ)、そこでお行儀よく座ってる。髪は長くて毛先を巻いてて、口元にはホクロが1つ。目のパッチリしたロリ顔の可愛い子だよ。アンタ名前は?」
目線をずらしてそう聞くと、リエコちゃんは『……ゆうか』と答え、それもついでに教えてやった。
聞いたママは ”ゆうか……?” と呟き少し考えおもむろに、空いてるグラスに氷を入れると酒は入れずに水を半分注ぎ込む。
そして、そのグラスを隣の席に静かに置いた。
ゆうかは驚き、出された水とママの顔をジッと視た。
指先でグラスの淵をそっと撫ぜ、しばらくしてから涙をポロポロ溢した後に、
『……ママ、ありがとう』
お礼を言って霧のように消えたんだ。
「あ…………ゆうか、消えちゃった。ママに ”ありがとう” って言ってたよ。知り合い?」
「……ええ、私の娘の1人だわ。何年か前に働いてくれた女の子。優しくて可愛くて人気があったのよ。でもね、最近病気で亡くなってね。私に……会いに来てくれたのかな」
「あぁ……そういう事か。ゆうか、真っ白で綺麗だった。ママ、安心しなよ。白い子は極楽浄土に逝けるんだ。きっと逝く前、最後に会いに来たんだよ」
「そう……今夜、弥生がいてくれて良かった。あの子、こんな仕事をしてたクセしてお酒が飲めなくてね。店が終わると ”ママ、お水が飲みたい” って甘えてたのよ。大事な娘、会いに来てくれたのね……」
ママは目を伏せ、優しく笑うとゆうかの水を時間をかけて飲み干した。
……
…………と、その時。
「こんなキツイの飲めないよ!」
突然、後ろから女の子の声がした。
振り向けば宇宙卓だ。
なんだよなんだよ、トラブル発生か!?(ワクテカァッ!)
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