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まだまだ話し足りなそう、そんな社長を事務所から追い出した。
「そう言ってもらえると嬉しいです。嬉しいから、ぶっちゃけもう泣きそうです。これ以上話してると涙腺崩壊しちゃうから、社長はオウチで休んでください! ここにあるリストを登録すれば良いんですよね?」
大きな背中を両手で押して、寝ちゃってていいですからねと強引に外に出す。
ちょうどその時、奥様がお盆に乗せたオニギリと肉じゃがを持ってきてくれたんだ。
おいしそうな匂いにお腹がグーグー鳴り出して、ありがたくそれをいただいた。
腹ごしらえが済んだところで、さっそく登録に取り掛かる。
リストを見れば、……ワオ、ま、予想はしてたけど、軽く100件超えてるわ。
これを一件一件見直ししながら登録するとなると……こりゃ本気で徹夜だな。
……
…………
夜中の0時をとっくにすぎて、次の日になってしまった。
僕はひたすら登録をしてるのだけど、瀧澤社長は眠る前に顔を出したがそれを追い出し、僕一人で事務所に残っている。
気を遣った訳ではない、……や、ちょっとは遣ったけど、他にも理由がある。
ほら、こう言ったらなんだけど、社長は登録作業が出来ないし、昔話をされようものなら、今度こそ乙女のように泣いちゃいそう。
さすがにお客様の前で泣くのはいかがなものかと思うじゃない。
単純にそう思って戻ってもらったんだけど……よくよく考えたらこんな時間に僕1人でいさせるなんて……よくOKくれたよな、……瀧澤社長は僕のコト信用しすぎじゃない?
事務所ってさ、重要書類もあるだろうし、金庫だってあるかもしれない。
そこに部外者1人でいさせて、心配じゃないのかな?
もちろん、悪い事はしないよ、する訳ない。
それにしたって……ねぇ、いいのかしら。
社長は僕を信用してくれてるんだな。
ここまで信用されるとさ、驚きもするが、もっともっと頑張ろうって思っちゃう。
単純なのかもしれないけれど、そういうのってありがたい事だもの。
とは言え……はぁ……やっと半分終わったぞ。
間違いがあるといけないからね、何度も見直ししてるけど、登録ぜんぶ終わったらもう2~3回は見直ししたい。
僕のミスで間違い電話や間違いファックスがあったら……そう思うと怖くなる。
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