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桜はママに抱き着くと子供みたいに泣き出した。
ママはそれを拒否する事なく、桜の背中をサスサスしながら前ちゃんをジッと見た、……んで、端的にこう聞いた。
「前島さん、なぜ桜にテキーラの連続イッキを? 今までこんな要求、どの女の子にもしなかったのに」
前ちゃんは、……いや、佐藤クンもアワアワしてる。
”えっとその” だの ”ゴメンナサイ” だの ”そういうつもりじゃなくってね” だのハッキリしない。
だーかーらー、”そういうつもり” じゃないんなら、”どういうつもり” だったのか説明しろって。
ホステス全員酒に強いと思うなよ?
アタシとママは規格外だと思って良い。
桜はそこそこ飲めるけど、あくまでもそこそこだ。
女の子に無理をさせるな、酒は楽しく飲むモンだ。
テンパる前ちゃん&佐藤クンは、店内から注目されて大汗掻いてる。
もうさ、ぜんぶゲロっちゃえよ。
ダイジョブだ、なんか理由があるんだろう?
前ちゃん達にかぎってさ、女の子を酔わせてどうこうしないだろうし、……と静観してたら。
宇宙卓に憑いてた3霊、白いシンジくん達まで騒ぎ出したんだ。
『あわわわわ! どうしよどうしよ!』
『前ちゃんとサトクンが怒られてるぅ!』
『だからあんな古クサイ手はダメだったんだよぉ!』
アワアワアワ!←手振り身振りで焦ってる
ウロウロウロ!←宇宙卓で右往左往
真っ白でピカピカ輝く3霊は、けっこうなオッサンだった。
3人ともポロシャツ着てて、ゴルフにでも行ってきたのか? とまぁ、そんな感じで霊も良さそで無害っぽい。
アワアワウロウロ、そしてアセアセ。
どうもコイツら前ちゃん達を知ってそうだし、ついでに事情も知っていそうだ。
前ちゃん達よりコッチに聞いたら早いかも。
アタシはそっと横歩きをして、シンジクン達に(って年でもないけど)近づいた。
そして、
「よぉ、オッサンら。なにテンパってんだ?」
小さく声をかけてみたんだ。
したら、
『『『 えっ!? 』』』
3霊で顔を視合わせカキーンと固まる。
いつまでたっても返事がないから、もう1度声を掛けたんだ。
「オイ、オイって! オッサンら、アタシの声は聞こえてるんだろ? コッチ向けって!」
『『『 ……え……? 』』』
2度目でやっとコッチを向いた。
オッサンらはユーレーでも視るよな目をしてアタシを視てる。
ヨーシヨシヨシヨシ!
ダイジョウブ、お姉さんは白いヤツには怖くないから。
刀で斬ったりしないしさ、乱暴だってモチロンしない。
だから事情、聞かせてもらおうか。
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