第五章 霊媒師こぼれ話_大倉弥生28才の飲んだくれライフ

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前ちゃんと佐藤クンはママに任せた。 アタシはコッチ、ポロシャツのゴルフ帰りの(妄想だけど)オッサンらから事情聴取をしようと思う。 「オッサンら……(ジロジロジロ)視ない顔だね。この店は初めて?」 聞いてみた。 先月までは曼珠沙華のレギュラーで、毎晩毎晩オープンラストで出勤してた。 アタシの目には生きてるヤツも死んでるヤツも両方映るが、この3人は視たコトがない。 『…………驚いた、お嬢さんには私達が視えるのか……』←シンジ・その1 そう、アタシにはオッサンらが視えるのよ。 『霊能者ってヤツじゃないか? 昔テレビで視た事がある』←シンジ・その2 それって夏の心霊番組か? アタシも大好きだ!  『えぇ! この子芸能人なの!? どうりで美人だと思った!』←シンジ・その3 (ちげ)ぇわ、そうじゃねぇわ、話ちゃんと聞いてたか? でもまキライじゃない、この3人で1番イイヤツはおまいに決定。 「あのさ、前ちゃん達と桜に一体何があったんだよ。前ちゃんも佐藤クンも女の子を酒でどうこうするヤツらじゃないだろ。なのにテッキーーールァッ! のイッキなんてヘンだなぁと思ってさ。事情があるとは思うんだけど……ホラ、ああやってしどろもどろで答えてくれない。だからオッサンらが教えてよ」 生きてるヤツらに見つからないよう、アタシは小声でそう聞いた。 オッサンらは顔を視合わせ、”ど、どうする?” と話し合ってる。 だからアタシはもう一押し、こんなコトを言ってみた。 「教えてくれないとさぁ、前ちゃん達、もう曼珠沙華に来れなくなっちゃうよ。事情があっても話してくれなきゃ分からない。ママはああ視えて容赦がないからな。このままずっとダンマリキメたら間違いなく出禁になる。それでも良いのか? 良いならまぁ仕方がないけど」 こんなんで効き目があるかは分からない。 だって、曼珠沙華が出禁になってもこのビルにはもう2店舗飲み屋があるもん(2階にガールズバー、3階に熟女スナック)。 出禁になっても飲む場所には困らないし……と思ったのに意外だった。 シンジ達は揃いも揃って慌てだし、早々にゲロッてくれたんだ。
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