第五章 霊媒師こぼれ話_大倉弥生28才の飲んだくれライフ

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『で、出禁は困る!』 『そうだそうだ、それじゃあ意味がない!』 『サトクンの恋が実らないじゃないか!』 ん!? 今なんて言った? 聞き捨てならないコトを言ってなかったか!? 「ハイハイハイ、ちょっと待て。今発言した……そう、3番目のオッサン! あんた今、”サトクンの恋” がどうのうって言っただろ。そこ、くわしく!」 もしかして?(ワクワク!) もしかして?(ワクテカァ!) 佐藤クンっていくつだっけ? 年は知らんが見た感じはけっこう若いし、恋ってもしやそーゆーコトか!? 『ほらぁ! 余計な事を言うからバレちゃったよ!』 『サトクンの恋は前ちゃんしか知らないのに! なんでいつもこうかなぁ!』 『つ、ついウッカリ! で、でも、恋の相手が誰かまでは言ってないよ!』 ギリギリセーーーーーフッ! わーわーわー♪ ぜーったいにバレないようにしてあげないと! フレッフレッサトクン! 目指せ! ケッコーーーン! オッサンらは肩を組み、円陣組んで盛り上がってる。 若き生き人、佐藤クンを本気で応援してるっぽい。 ふぅん、なんか知らんがおまいら全員イイヤツじゃんか。 ただし隠し事はヘタクソだ。 盛り上がる3霊達の円陣に、 「へぇ、佐藤クンって桜の事が好きだったんだ」 ニヤニヤしながらそう言うと、 『『『 …………!? 』』』 なぜバレた!? ……な、口ぱっかーんなビックリ顔に、アタシは爆笑しちゃったんだよ(夜は笑いの沸点下がるし)。 と……その時。 アタシの声に店が静まり返ってさ、……って、たまにあるでショ、ずっと騒がしかったのに、急にシンとなっちゃうアレだ。 うわぁ……店内みんな、アタシに注目、揃いも揃って訝し気な表情だ。 ヤバ……!
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