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曼殊沙華はそんなにデカイ箱(店)じゃない。
それでもさ、ママとスタッフ、客を含めて数えたら、イチニイサンシイ……ざっと20人はいるんだよ(死者は含まず)。
その全員がアタシを見てる、スッゲェ注目浴びちゃってるぅ!
「や、えと、その…………み、みんなどうしたの? なにかあった?」
ダメ元ですっとぼけてみた。
どこまで聞こえたんだろう?
アタシのデカイ笑い声?
それとも、
____へぇ、佐藤クンって桜の事が好きだったんだ、
コッチか?
それによって対処の仕方が変わってくるけどドッチか分からん。
アタシ VS その他全員、腹の探り合いだ。
分からん答え。
それを教えてくれたのは当の佐藤クンだった。
額にうっすら汗を浮かべて耳まで真っ赤にさせながら、
「や、弥生さん、……なんでそのコト知ってるの?」
桜のコトをチラリと見てからそう言ったんだよ。
あらやだ素直、意外とアッサリ認めたわ。
でもってやっぱり聞こえてたのか、なんかゴメン。
佐藤クンが認めた途端、オッサン達は俄然やる気を出してきた。
『頑張れサトクン! 気持ちを伝えろ!』
『ダメで元々、上手くいったら御の字だ!』
『好きーって! 好きーって言ってぇん!』
暑苦しい応援だけど、気持ちは十分伝わってくる。
オッサンら、佐藤クンのなんなんだ?
もしかして親戚かなにか?
残念ながら……佐藤クンには応援団が視えない。
それでもさ、不思議なもんでオッサンらが応援するほど、佐藤クンの表情が力強くなってくるんだ。
声も聞こえてないはずなのに。
そんな中、桜はというと……マジギレから一転。
頬を真っ赤に染めながら、モジモジソワソワ白のドレスを意味もなくコネている。
店中の視線が佐藤君と桜に移った。
みんな揃ってワクテカ4割、緊張2割。
残りはそれぞれ色んな気持ちが入り混じる。
と、ココで前ちゃんが動いた。
佐藤君の背中をバシっと叩いた後に、桜に向かって言ったんだ。
「桜ちゃん、さっきはごめんね。テキーラなんて強いお酒を勧めちゃって。みんな私が悪いんだ。佐藤君はなんにも悪くないの。本当にごめん」
桜は困惑だ、……ま、無理もないか。
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