473人が本棚に入れています
本棚に追加
前ちゃんの ”ゴメンナサイ” にオッサンらは慌てふためいた。
当然事情を知ってるんだろう、だからコソッと聞いてみたら……
『まさか桜ちゃんがホントに飲むとは思わなかったんだよぉ』
『作戦だったんだ。おちょこでテキーラ、前ちゃんが無理に勧めて桜が困る。そこでサトクンが何も言わずにササッと代わりに飲み干せば、”サトクン素敵……!” ってなると思ったの』
『で、でも、桜ちゃん、間髪入れずに飲んじゃってさぁ。計画が狂って焦ってしまったんだ』
ふっる!!
なに? その100年前のテンプレみたいな作戦は。
誰だよソレやろうと言い出したヤツ……って、たぶん前ちゃんだ。
だから ”みんな私が悪い” と言い出したんだ。
つーか佐藤君も佐藤君だよ。
乗っかるな、んな化石みたいな古い手に。
佐藤君は何度も首を横に振り、前ちゃんに ”すみません” と頭を下げると今度は桜に向き直る。
そして、
「桜ちゃん、」
名前を呼んだ、……途端、店の中の連中が一斉に背筋をのばした。
や、なんでおまいらが背筋を正す、なんでおまいらが緊張すんだよ。
つーか見すぎ、チョットは遠慮しろ。
ま、そんなアタシも見てるけど、ついでに言うならママもめちゃくちゃ見てるけど。
「…………な、なに?」
あーあー、桜の言い方。
可愛くねーなー。
でも、真っ赤な顔と涙目は可愛いわ。
桜、前に言ってたもんな。
____佐藤君ってカノジョいるのかなぁ?
って。
それと……
オッサンら、今イイトコだから静かにしてくれ。
気持ちはワカル、ワカルんだけど……ぷっ。
んとにもー泣きすぎだ。
最初のコメントを投稿しよう!