風邪を甘くみたらいけない

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 和室からテレビが観られるとお父さんは言ったが実際にはソファを動かさないとソファの背で見えない。お母さんは布団を敷いたりソファを壁際に移動したり大忙しだ。隼太はできるだけ手伝った。  みんなで小学校の低学年用のアニメを観る。壮太は見入っていたが隼太にしたらいまいち物足りない。  アニメが終わったのが十二時半だった。お母さんはアニメの途中からお昼ご飯を作っていたので支度はできているだろう。隼太は壮太とキッチンのテーブルに着いた。お父さんは和室でお粥だ。 「お兄ちゃん、ご飯を食べたらどうするの?」 「そうだな、宿題もあるし、漫画本も読みたいし家にいるよ」 「僕は宿題もそんなにないし暇だな」 「お母さんにショッピングモールに連れてってもらえよ。戦隊ヒーローショーが観たいんだろ」  病人がいるので隼太は出掛ける気はなかったが壮太は家に居ても暇なだけだろう。留守番をしてお父さんの様子が悪くなったらお母さんに電話すればいいだけだ。場合によってはタクシーを呼んで総合病院の救急に連れていくか。どっちにしても隼太がお父さんを看ていればことが足りる。  壮太は戦隊ヒーローショーが観られると聞いて顔を明るくした。 「お母さん、お兄ちゃんが行っていいって」 「隼太、大丈夫?」 「うん、なにかあったら電話するよ」 「じゃ、二時に出ましょう。壮太、良かったね」  お昼を食べ終えると、お父さんは風邪薬の効き目かぐっすり寝た。寝息の間にこんこんと咳をしている。隼太は眉根を寄せた。
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