触れた星へ、愛を乞う。

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「……この国の第一王子を殺せという任務だった。王子を殺したら、組織を抜けてもいいと約束してもらえていたんだ。それなのに……」 「失敗して、返り討ちにでも遭いましたか?」  トワがこくりと頷く。 「与えられた地図に従って王城の裏手から侵入して、中庭から王子の部屋を見つけたところで護衛に気づかれた。そのとき解ったんだ。組織は最初から、わたしが失敗して逆に殺されることを見越していた。地図は欠陥だらけだったんだ。それに……わたしは失敗してもいいと思っていた。もう、人を殺したくなかった」  そしてロクザンへ顔を向けた。 「正直に言う。あんたがフードを被って顔を明らかにしないのは、わたしにとどめを刺すために送り込まれてきた組織の人間だからじゃないかって思ってる」 「面白い仮定ですね。だとしたら、どうするんですか」  ロクザンがくすくすと笑みをこぼした。 (肯定もしなければ、否定もしない)  トワは言葉を続ける。 「それならそれで、しかたない。わたしはたくさんの人間を殺して、罪を重ねてきた。それなのに組織を抜けて普通の人間になりたいって望んだことが、そもそも間違いだった。最後に王子を殺して、その後、平和に暮らせるか? ははっ、矛盾しているだろう。わたしは……ばかだ」
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