2人が本棚に入れています
本棚に追加
即死とは、何ともあっけない死ではないか。
そう思考を巡らせた時、ふとこの現状に違和感を覚える。
何故俺は即死しても尚、思考が出来るのか。
そう思うと同時に徐々に視界が開けていき、真っ白な天井が映し出された。
あたりを見渡すと、洗礼された小さな部屋で俺は先程まで眠っていた事に気づく。
腕から管が伸び、その先を見ると点滴されている事も理解できた。
どうやら今度の空間は病院の様だ。
前回の落下で助かったのだろうか。
そう思い、自分の体を弄ってみるが痛みを感じる場所はない。
ならば、俺は何の為にここで入院している。
理解する為にも手元にあるナースコールを押した後、頬をつねってみた。
やはりここでもしっかりと痛みを感じる。
加えて空腹も感じる事から、案外健康なのかもしれない。
「……遅いなぁ」
ナースコールを押してしばらくするが、一向に看護師がこちらに来る気配がない。
試しにもう一度押しても、結果は同じだった。
仕方なく立ち上がると、体がバランスを崩し、慌てて側の手すりにつかまる。
力が思うように入らない。
俺はこの世界でどれだけ眠っていたのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!