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その理由を知る為にもまずは、ナースセンターに向かう必要があるな。
ふらつく体を支える為にも廊下の手すりに掴みながらゆっくりと歩く。
おかしい、物音が全くしない。
夜中の病院なのだろうか、廊下は薄暗く足元のうすぼんやりと足元を照らすだけの誘導灯を頼りに歩きながら、周りを見渡す。
周囲が暗いだけで、普通の病院とそれ程違いのない形をしているような気がしているが、それにしてもやはり静かすぎる。
何とかナースセンターにつくと、そこだけ周囲と違って蛍光灯の明かりがついはいたがやはり人気はなかった。
「すみません、誰か居ませんか?」
声をかけて見るが、それでも何処からも反応はない。
やはり、これはおかしすぎる。
徐々に不安が膨れ上がり、俺は他の病室の扉を開いた。
居ない。
中を覗き込んで見たが、どの部屋にも人は居ない。
そうだ、まるで最初に見たあの荒廃した世界のようににココはあまりにも現実離れしていたのだ。
「夢か?」
そう思った途端に、今度はまた別の恐怖がこみ上げてくる。
もしこの世界が夢だった場合、目を覚ます方法は現段階で1つしか心当たりがない。
それはこれまでの世界で経験したあの出来事。
俺の死だ。
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