助けて!

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助けて!

結局昨日は23時過ぎに切り上げて帰路についた。 そろそろ人事から残業のし過ぎだと厳重注意を受けたい(切なる願い)。 まぁ最終的には法定残業上限45時間を超えないように上手いこと調整するんだけどさ…。 朝はゆっくりめとはいえフレックスタイム制度のコアタイムが11時〜16時なのでいつも10時30分には出社する。 ただ今日は11時から中途の面接があるため10時に出社して応募者の職務経歴書を確認している。 昨日やる予定が結局出来なかったのだ。 新卒の面接ならここまでちゃんとやらないのだが(失礼)、今日の面接は入院した部下の後任候補なので気合が入る。 4月入社の後任に前倒し入社をお願いしたものの有給消化をしたいとのことで断られてしまったのだ。 そりゃそうだ。旅行の計画等もあっただろう。 さすがにそれをキャンセルしろなどという無茶振りは出来ない。 取締役は「そんなん関係ないでしょ。入れればいいじゃん」と言うだろうが。いや間違いない。アイツならそう言う。 面接官に時間を割く人員すらいないので私1人で面接会場の会議室へ入った。 応募者である斉間柊介が立ちあがる。 「はじめまして。面接官の和泉です。どうぞお掛けください」 「はい、宜しくお願い致します」 お互いに一礼し座る。 手元の履歴書と職務経歴書に目をやりながら投げ掛ける質問内容を思案する。 斉間柊介27歳。地方国立大経済学部卒。 地元の優等生といったところか。 新卒でゲームメーカーに入社し、最初は営業に配属され、その後2年に渡りライセンスアウトの業務に携わる。 ライセンスインを行う我が社とは逆の立場だったということだ。 営業経験もあり版権関係の知見もありと、経歴だけ見れば即戦力。 見た目は清潔感があり爽やかな印象だ。 イマドキの若者らしいサラサラヘアーのツーブロック。 スーツは着こなすとまではいかなくとも着慣れた感じ。 喋りもまずまず。謙虚すぎず自信過剰すぎず。 草食系男子というかむしろ光合成してそうな…。 ともかく特に悪いイメージもなく一次面接を通した。 相当クズいのでなければ誰でもいいからとにかく早く来てほしいので人事に2週間で内定を出すように頼み込んだところ、無事最終面接も通過し3月頭での入社が決まった。 異例の早さだが斉間もよく承諾してくれたものだ。 引き継ぎはあるにせよ業務を分散させられるのは助かる。 これまで「和泉だけでも回ってるじゃん」という理由でアシスタントですら入れてもらえなかったのだ。 回ってるんじゃねーよ。 命削って無理矢理回してんだよ!! 本当にうちの会社頭おかしい。 私が潰れたらチーム消滅やぞ。 一先ず斉間柊介の入社日が決まりホッとした。
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