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スマホでSNSなんかを散漫に見ていても、時間はなかなか経ってくれない。じりじりしてしまう。
それにやってくるひとはどんどん増えていた。列はもう、デパートの前なんてとっくに埋まって、うしろは折り返しているようだ。
これほど前のほうなら大丈夫だろう。
私は楽観する気持ちがだんだん強くなっていくのを感じた。
時間が進むに従って、スタッフのジャンパーを着たひとが様子を見に来るようになっていた。
どのくらい待機しているお客がいるのか見ているのだろう、と私は思った。
しかしやっと時間が進んでくれて、いよいよ開店まであと三十分ほどになったとき、そのスタッフが声を上げた。
「皆様! これより入場券をお配りいたします!」
入場券?
私は不思議に思った。
整理券ではないだろう。それならもっと早くに配られていただろうから。
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