怒り

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「なんで翔くんが謝るの…?」 おもいっきり俺に抱きしめられながら冷夏は優しい表情で俺を見上げた。 「じゃ、今の取り消しな!」 「なんだ?それ……」 二人の間に何時間ぶりかに笑いが零れていた。 だけど…… 冷夏を強く強く抱きしめてる俺の腕はかすかに震えていた。 「ねぇ?翔くん……」 「んっ?」 深呼吸を小さくしながら、震えてる自分の腕に、力を入れ直し見上げている冷夏の頭にそっと手を置いた。 「冷夏、真実を話したのは翔くんだけなの……」 一生懸命笑って話してるつもりの冷夏の表情は、俺の胸に痛みを走らせた。 「うん」 「だけどね、同情なんていらないからね!」 「分かってる!」 張り詰めた表情から安心した表情に変わる冷夏の顔に手を当て、俺たちは今までにないくらい長い長いキスをした……。
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