第6章 偽装彼氏の契約解除

15/20
1510人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
 ◇◇◇  あれから二か月が経とうとしていた。季節は移り変わり、十二月になった。風はすっかり冷たくなり、今日は寒波の影響で一段と冷え込んでいた。  ここは椎葉が住む1LDKの間取りのマンション。二十帖のリビングなので美優の部屋に比べると格段に広い。会社にも近いので、ここ最近は椎葉のマンションに泊まることが多くなっていた。  椎葉が運転する車でマンションに帰宅した美優はリビングのソファにぐったりと腰をおろした。  昨日は美優の実家。そして今日は椎葉の実家にあいさつに伺った。  結婚の具体的な予定はまだないけれど、結婚前提のつき合いなのでお互いの両親にあいさつをしておこうという椎葉の強い希望だった。  美優には母との確執があった。そのことで美優はかなり躊躇していたけれど、椎葉が説得を繰り返し、ようやく実現した。美優はあまり実家に寄りつかなかったため、昨日は両親と久しぶりの対面だった。 「はぁ……緊張した……」 「大丈夫?」 「大丈夫じゃありません。昨日と今日でもうフラフラです」
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!