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だから、カフェラテは奢る気でいるし、もう一度話して子供の交換は終わりにする気だ。
ちゃんと、話そう。
「なあ、いつか」
「何?」
「もう終わろう。ちゃんと話して、交換なんて、止めにしようよ。」
「あ…良いの?」
「当然だろ。」
「っ…!ありがとう!」
心の底からの笑顔。そんな綺麗なものを見せられる。普段大人しい彼女にしては珍しいものだ。
俺は追加のカフェラテのお金を払い、一緒にカフェを出る。結構時間は経っていたらしく、もう夕暮れが来る。
いつかも驚きを隠せずにいたみたいだ。
「変な感じだよね。夏はまだ暑くて、日も暮れないのにさ、まだ明るいなって言って。冬は寒くてすぐに暮れるのに、もう暮れるの?って。ずっと馴れないな。」
「そんなもんだろ。気付けば暗いか、気付いたときもまだ明るいか、どっちかしかないんだし。」
「そだね。」
当たり前のようなことを話す。
「じゃあ今日今のお母さん達と話して、明日、皆で話そう。で、これで終わりにしよう。」
「ああ、交換なんて、終わろう。」
俺達は約束を交わす。
T字路で別れると、俺は今の自宅へ歩く。
優しくて、別人のお母さんのもとへ、今日だけ帰る。
「あ」
と、あの茶髪の女の子の姿を見つけた。
思わず立ち止まってしまったが、前の女の子は気付いてはいなさそうだ。
俺は知っていても、彼女は知るかはわからない。いつかの友達だから一方的に面識がある、それくらいだ。
俺は立ち止まった足を再び動かして、自宅へと急ぐ。
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