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政策秘書は「この人、世襲議員で地盤を受け継いできたせいか考え方が古い」と考えたが、それを口に出すことは出来なかった。火鳥は自分の周りにはイエスマンしか置かないことで有名な人間、少しでも反論を述べればクビが飛んでもおかしくないからである。
「とりあえず、私は大都市圏近郊の選挙区を応援演説で回る! 心配な奴らが多すぎる!」
「あ、あの? 地元の方は?」
「私は党の顔役だ。東京の本部にいないと駄目だ。地元にいるのは公示日の今日の挨拶と投開票前日の最後のお願いだけにしておく。これまでもこれで当選してきた」
「それは分かりました。それで比例代表の方は…… 万が一のことを考えて比例代表の名簿の上位に先生の名前を入れておいた方が良いのでは」
火鳥は政策秘書を鷹のような鋭い目つきでギロリと睨みつけた。政策秘書の全身が震え上がり、反射的に謝罪をしそうになる。
「私を誰だと思っている」
「も、申し訳ありません」
「私が比例の名簿に名を入れるだと? 笑わせるな! 小選挙区一本でずっと当選しているんだ! そんな私が比例復活なぞしてみろ! ゾンビ当選などと言われて笑い者だ! 二度と天下の往来を歩けなくなる!」
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