家族会議

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「私たちのプライドをずたずたに切り裂いた。大して業績を上げたわけでもない利勝を褒めちぎって、さも私たちが無能のように言いふらした。彼のネット事業も映画製作の収益もたかが知れています。財務諸表を見れば、どちらの会社がより成長し、より利益を上げているかは明らかです。なのにお母様は、利勝、利勝、と次男ばかりを可愛がった――。いいですか、お母様。私たちはあなたの単なる駒ではありません。今後いっさい、あなたの指示には従いません!」  渾身の一撃だった。  言葉の石つぶては、正確に梅子の急所を捉えた。  それは娘から母親に向けられた最後通告であり、絶縁宣言でもあった。  梅子は全身をぶるぶると痙攣させながら明美を睨み上げる。 「いいだろう。お前たちがそこまで言うなら、本当のことを教えてやろう」  顔に残忍な笑みが刻まれた。 「言っておくけど、これはお前たちが言わせたんだからね。私は言いたくなかったのに……墓場まで持っていくつもりだったのに……孝雄、明美、お前たちが無理矢理私に言わせるんだからね」  その顔には憤怒と悲哀がないまぜになったような、一種異様な妖気があらわれる。  まるで夜叉だ。  孝雄と明美は顔をこわばらせる。  何が語られるのかと怯えているのが見て取れる。  梅子は満身の怒りを叩きつけるように言葉を発した。 「お前たち二人は……私がお腹を痛めて産んだ子供じゃないよ」 「……」  姉弟は顔を見合わせる。  梅子の目にじんわり涙が溜まっていく。 「お前たちと私は、血がつながっていないのさ」  言ってしまってから、唇を噛んだ。  孝雄と明美はあんぐりと口を開ける。
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