西園寺洋子の告白

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西園寺洋子の告白

 西園寺洋子はすべてを告白した。  彼女はかつて、本木雄二と恋愛関係にあった。  先の結婚に失敗し、幼い涼介をかかえてシングルマザーとして苦闘していた頃のことだ。  当時、彼女はシステムエンジニアリングの会社で派遣社員として働いており、本木は直属の上司だった。  本木からは結婚をほのめかされており、涼介が小学校を卒業したら籍を入れようと、二人で話し合っていた。  そんな時、会社主催のパーティーに、当時親会社の専務だった西園寺利勝がやってきた。  彼の世話係を担当した洋子は、細やかな心遣いが気に入られたのか、その場で利勝に見染められた。  以来、食事の誘いが毎日のように届く。    抗しきれずに一度だけ付き合ったところ、洋子がそれまで足を踏み入れたこともないような高級レストランで、いきなり、結婚を前提とした交際を申し込まれた。  これには洋子も面食らった。  そんな男性は初めてだった。  この日から利勝の猛烈なアプローチが始まる。
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