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事情聴取
しばらくすると、所轄署の刑事らが相次いで到着し、現場検証が行われた。
遺体の状況から「事件」であることは明白で、すぐに本庁の捜査一課に出動要請がかかった。
被害者が政界中枢と繋がりの深い西園寺ファミリーの一員――それも後継者――とあってか、捜査員たちの間に一種異様な緊張感が走っているのが分かる。
すぐさま犯行現場の部屋にいた使用人や家族、ゲスト全員が別室に集められ、事情聴取が行われた。
詩織もその中の一人だ。
涼介の姿はなかった。
総勢で三十名以上にも及ぶため、一人ひとりの詳しい聴取は、夜が明けて捜査一課が到着してから行われることになった。まずはそれぞれの犯行時刻におけるアリバイの確認作業が進められた。
三十分ほどの全体聴取で、おおよそ以下のような事実が判明した。
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