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温まった牛乳に粉を入れてかき混ぜるのを、河瀬はもの珍しげにのぞき込んできた。
「梯さんはいつもカフェオレですね」
「うん。牛乳の甘さがほっとするんだ」
「なんか意外というか。酒もだめですよね」
「飲めないわけじゃないんだけどね」
ふんふんとうなずいた河瀬が改まって大地を見た。
「梯さんって気さくだしなんでも言えるけど、プライベートは謎なひとですよね」
大地が酒を飲めないことは歓迎会で知られたので、昼食に誘われることはあっても飲みに誘われることはなかった。周囲とコミュニケーションをとるようにはしているが、酒が入ればこその話題はなかったかもしれない。
「旅してたのもあって、結構オープンな方だと思うけど」
「それですよ。そもそもバックパッカーとか俺には未知の世界だし、どこから突っ込んでいいのかわかりません」
学生のときに旅したインドの魅力にはまり、大地は商社に就職して希望したインドへ配属された。そこで五年間勤めたのちに退職し、アジアを中心に三年間バックパッカーをしていた。その際得た縁で、昨年からこの食品会社に勤務している。
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