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読み終えるなり財布をひっつかみ、いつも自分が飲んでいる粉を買いに走った。日本ではどこにでも売っているが当然あの村にあるはずもなく、だから同じものを無性に味わわせてあげたくなった。大地はあの村での生活を思い浮かべることはできるが、その術を持たないレーが不憫で仕方がない。戻ってくると大地はすぐに手紙を書いた。
「Dear Reh」からはじめる手紙をもう何通書いたのか。カフェオレを飲みながらやさしい気持ちで書くときもあれば、夜中にベッドから這い出して衝動的に書くときもある。そして、書き終えたあとに胸に迫ってくるのは、読み終えたときのレーの姿だ。そばに大地がいないことを改めてかみしめているに違いない。今の自分と同じように――。
会えなくて寂しいのはわかっていた。切なさに耐える覚悟もした。でも、そばにいてあげられないことがこんなに辛いとは……。
大地はごめんとつぶやいて、最後に『I miss you』と書き添えた。
「あれ、お帰りですか?」
パソコンを閉じると河瀬が振り向いた。
「ちょっと用事を思い出した。資料大丈夫かな?」
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