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「そりゃ、美里がしたいなら私は止めないよ。でも、違うよね。美里は美里の考えがあるんだよ。お母さんが決めないで。聞いててご飯が美味しくなくなる。」
猫が獲物を狩る様な目つきだった。
つり目がちな目が細くなり、お母さんを見る。
「お、お母さんは負けた美里がもっと頑張ってほしいの。頑張ってないから負けるのよ。努力が見えないもの。」
「お母さんは何をみているの?勝つことだけが頑張った証なの?違うよね。お母さんは何をみてるの?」
重ねるように姉が言う。
こうなると、姉は引きさがらない。
「どれだけ狭い世界で生きてるの?」
顔を真っ赤にした母は、
「勝手にしなさい!」
と、2階に上がって行った。
私の前の席には、ラップで巻かれた夕食と、姉の前には、食べかけのハンバーグとご飯が置いてあった。
「やりー。おかずゲット。」
「お母さんのだよ?」
「いいのよ。ああなったら数時間は出てこないんだから。」
そう言い、母のお皿からハンバーグを奪う姉。
「美里も、何かあるならはっきり言わないと。」
「お母さんの意見聞かなくちゃダメでしょ。色々気にしてくれてるのに。」
「たまには、頑固でいないと。何でもかんでも引き受けたって、自分が壊れるだけなんだから。」
母から奪ったハンバーグを食す姉。
私は、自分の分のご飯を少しずつ食べる。
肉の臭みが口の中に広がった。
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