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そのあとは、なんとも言えない雰囲気になった。
二階に上がると、母の泣き声が聞こえてくる。
泣き声を聞きたくなくて、私は静かに部屋に入った。
この家は息苦しい。
父が帰ってきたのは、真夜中だった。
また、母のヒステリックな泣き声と父の呆れた声で目が覚めた。
聞こえないように、ワイヤレスイヤホンで音を塞ぐ。
母がこんなふうにヒステリックになり出したのは、父が帰ってくるのが遅くなってからだ。
最初は「残業だから。仕方ない」と母に言っていたが、明らかに女物の香水がスーツにまとわりついていたから、おそらく黒だろう。
この家に住み出してから、いろいろ変わっていく。
女と遊ぶ父。周りの目や、大好きだった父を取られヒステリックになる母。姉になろうと努力する私。
変わらないのは、姉のみだ。
ため息をつく。
どうせこの喧嘩は、朝方近くまで続く。
寝れないのなら、明日の予習を。と思い私は学習机に向かった。
家のことを考えたくない。ここに私の休まる場所はない気がして。
不安をなくすよう、私はシャープペンシルを走らせた。
イヤホンなしでも、母たちの声が聞こえなくなったのは、深夜4時を回っていた。
背伸びをし、深呼吸をする。
「浮気するならバレないようにしてよ…。」
ボソッと、小さく言う。
なんで浮気するんだろう。母は、娘の目から見ても綺麗な方だ。
なんで男性は、1人の人では満足できないんだ。
そんなことを思いながら、再度ベットに横になった。
また、母の泣き声が聞こえる。
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