私はあの子になりたかた

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「みーさと!」  休憩時間、ウトウトしていると、クラスメイトの当坂かなでが、声をかけてくれた。 「次の二限はカバちゃんの授業だよ。移動しないと。」 「そうだったや。でも、蒲倉先生だったら遅刻してもバレないよね。」 「それは思う。」  かなでは、歯をニッと出して笑う。  蒲倉済治先生は、生徒の間では「カバちゃん」で愛されている。  授業も基本的に緩いため、みんな授業中なのに寝たり、違う教科の勉強をしたりしている。    ふと、真由の席を見る。  彼女は朝が弱い為、三限まで出てこない日が多い。  たまに、一限からきてもずっと寝ている。  先生からは、もう諦められている為特に何も言われていない。    同じクラスの真由だが、クラスでは積極的にお互い関わることはない。  彼女は常時音楽を聴いているし、私は私で委員長の仕事を頼まれたり、周りの友人と過ごしているため、話す時間がないのだ。    私は、科学の授業の準備をし、かなでと一緒に教室を出た。    科学室は二階。私たちのクラスは三階なのですぐに着く。  階段のところを行こうとすると男性の大きな声が聞こえた。 「こら!春井!」  名前にびくりと肩を震わす。  
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