12人が本棚に入れています
本棚に追加
「みーさと!」
休憩時間、ウトウトしていると、クラスメイトの当坂かなでが、声をかけてくれた。
「次の二限はカバちゃんの授業だよ。移動しないと。」
「そうだったや。でも、蒲倉先生だったら遅刻してもバレないよね。」
「それは思う。」
かなでは、歯をニッと出して笑う。
蒲倉済治先生は、生徒の間では「カバちゃん」で愛されている。
授業も基本的に緩いため、みんな授業中なのに寝たり、違う教科の勉強をしたりしている。
ふと、真由の席を見る。
彼女は朝が弱い為、三限まで出てこない日が多い。
たまに、一限からきてもずっと寝ている。
先生からは、もう諦められている為特に何も言われていない。
同じクラスの真由だが、クラスでは積極的にお互い関わることはない。
彼女は常時音楽を聴いているし、私は私で委員長の仕事を頼まれたり、周りの友人と過ごしているため、話す時間がないのだ。
私は、科学の授業の準備をし、かなでと一緒に教室を出た。
科学室は二階。私たちのクラスは三階なのですぐに着く。
階段のところを行こうとすると男性の大きな声が聞こえた。
「こら!春井!」
名前にびくりと肩を震わす。
最初のコメントを投稿しよう!