のし餅売り切り大作戦

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 クリスマスが終わったと同時に、年末にかけて最大級の寒波が日本に到来する。そんなの短期アルバイトを考える時に予報は出てないじゃない?わかってたら、外のテントで餅を売るのなんて選ばなかった。  寒い。大学の部活で着ているジャージの上に、ウィンドブレーカーの上下を着て、更にこのスーパーのジャンパーを支給してもらって着てるけどとても敵わない。実はこのスーパーのジャンパーが全く役に立っていない。中が申し訳程度にフリース素材だけれど、これは経費をケチってるなとわかる。  店内は人混みで、レジを打つ人は汗をかきそうなくらいかな。腕まくりをしてる人もいるけど、あれはあれで大変そう。商品の数が多すぎる。ここは餅を売っていればいいだけで気楽でいいかもしれないけれど、ちょっとつまらない。だって「お正月ののし餅いかがですか?」「税込みで1600円です。」「ありがとうございました。」くらいしか言うことがない。欲しい人は買い物をしてからささっと立ち寄って買っていくし、いらない人は目もくれない。これもやりとりとしてつまらない。  欲しくない人にも買ってもらえて、なんだ、のし餅、いいじゃんって思ってもらえるようなさ、そんな販売がしてみたいと思うんだよ。私は。初めてここに立ってるけど。 「初めまして。一日よろしくね。私、花霞と申します。」  私よりちょっと遅れて、一緒に販売するアルバイトがやって来た。 「あ、初めまして。よろしくお願いします。」  初対面の人って緊張する。名前を名乗るのを忘れていたことに気付いたのはだいぶ後になってからだった。でも名札をしてるからいいか、一日だけだし。
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