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「ごはぁっ…!」
刹那、振り上げたドラコの右脚が、強烈な回し蹴りをオーサンの頭部に叩き込んでいた。密かな焦りが、つけ入る隙を彼に生じさせたのである……。
「………………」
そのたった一撃で、オーサンは白眼を剥くと倒れ伏し、そのまま泡を吹いて気絶してしまう。
「出た! 兄貴の幻の足技〝悪龍の尻尾〟だ!」
見事に決まった上段回し蹴りに、メンバーの一人が中二病的なネーミングセンスで歓喜の声をあげている。
「…プッ……おっとすまねえ。素手っていいながら足使っちまったぜ……」
対してドラコ本人は、口内に溜まった血を吐き出すと、そんな冗談とともに沈黙したオーサンを侮蔑するような眼差しで見下す。
「さあて、あとはザコどもの落とし前だ……野郎ども! この際、どっちが上かってのをよーくわからせてやれえっ!」
「オォォォーっ…!」
そして、メイスを拾い上げるとそれを振りかざし、背後に控えるメンバーともども、バルトロメウスの一団へと勢い勇んで殴り込んで行った――。
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