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それより数日後のこと……。
「た、大変だ! ば、バージルが…バージルがバルトロメウスのヤツらにやられた!」
ドラコ一味がいつも屯している教会裏の古い墓地に、そう叫びながら手下の一人が駆け込んで来た。
「んだと!? バージルが!?」
その急報に朽ちた墓石から腰を浮かすと、ドラコは思わず驚きの声をあげる。
バージルは、チーム・ドラコ結成当初からいる初期メンバーの一人で、ドラコにとっては親友のような間柄だ。
「一人で飯食ってる所を集団で襲われたらしい……生きてはいるようだけど、目撃者の話じゃ、そのままヤツらのアジトへ拉致られたって……」
「俺達を誘き出すための罠だな……どうする? ドラコ」
続く詳しい状況を聞くと、傍らに立つうなじを刈り上げにし、残る金髪を三つ編みにした背の高い男がドラコに尋ねる。やはり初期からのメンバーである、副船長のトミー・ダーティーだ。
「どうするだあ? そりゃあ、決まってんだろう……オイ! 野郎どもちょっと聞けやコラっ!」
問われたドラコは怒りに満ちた顔でそう答えると、大声を張り上げてメンバー全員の注目を集める。
「今、仲間が袋叩きにあってバルトロメウスの連中に捕まってる! 助けに行けば、間違いなく大きな抗争になんだろう……んでも、ダチのバージルやられてひよってるヤツいるか!? いねえーよなあ!?」
「うぉぉぉぉーッ!」
「やってやるぜコラぁーっ!」
そして、チームの頭として演説を一発ぶちかますと、仲間達も思いは同じだったらしく、うら淋しい教会裏の墓場は彼らの雄叫びで一気に湧き上がった。
「おーし! バルトロメウスぶっつぶすぞっ!」
「オォォォーッ!」
怒れるドラコとその一味は、そのままバルトロメウスの根城とする船の墓場へと全員で直行する……かくして、チーム・ドラコVSバルトロメウス団の一大抗争が勃発した。
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