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「――ケケケ…逃げずに来たことだけは褒めてやるぜ。ま、来たことをすぐに後悔するだろうがな」
南洋の太陽がギラギラと照りつける昼下がり……船の墓場へ駆けつけると、案の定、バルトロメウスのゴロツキ達は闘う気満々で待ち構えていた。
皆、釘を打ちつけた棍棒やらナイフやらカットラス(※海賊が好む短いサーベル)やらを手に、殺し合う気も満々である。
「…う…うぅ……」
また、頭のオーサンの足下には、血塗れで意識も朦朧としたバージルが小太りの身体を横たえている。
「バージル……てめえ、俺のダチに手ぇ出して、覚悟はできてんだろうなあ?」
ボロ雑巾のようにされた仲間を目の当たりにし、ドラコはこめかみをピクピクと痙攣させながら、オーサンにガンをつけてメイスを握る腕をわなわなと震わす。
「おいおい、そう早まんなよドラコぉ。こう見えて俺は平和主義者なんだ。ここは一つ、正々堂々、頭同士で、武器は使わず素手でのタイマン勝負といこうじゃねえか」
対してオーサンは悪どい笑みをその下品な顔に浮かべると、冗談めかした口調でそんな提案を持ちかけてくる。
「あん? ダチ拉致っといてなにが正々堂々だコラ…」
「おっと! そのお友達がどうなってもいいのかぁ? 生きたまま返してほしかったら素直にタイマン勝負受けろや。それとも、俺と素手でやり合う勇気はチキンなドラコくんにはないのかなあ?」
ふざけた物言いにますます怒りを募らせるドラコだが、手下に命じてバージルの首元へナイフを突きつけさせると、さらにお茶らけてオーサンはドラコを挑発する。
「てめえ……ああ、わあったよ。てめえ如き相手にメイスなんかいらねえ。お望み通り素手で勝負してやらあ!」
人質をとられては致し方なく、また、煽られて頭に血が上ったドラコは、メイスを投げ捨てると一対一の、素手でのタイマン勝負で勝敗を決める案を受け入れることにした。
「よーし、そうこなくっちゃな。んじゃ、さっそくおっ始めるとすっか……さあ、かかってきな」
「言われなくてもすぐにぶちのめしてやるぜっ!」
返事を聞き、ニヤリと笑って手招きをするオーサンに、待ちかねていた様子で速攻、ドラコは殴りかかる。
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