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「…チッ……クソっ! ちょこまか動きやがって!」
だが、オーサンはピョンピョンと小刻みに跳ねながら、軽快なフットワークでドラコのパンチを軽々と避けてしまう。
「…クソがっ! てめえ、ボクシングやってやがんな!?」
「ああ。ガキの頃、アングラントの秘密クラブで賭け拳闘試合に出てたんでな……てめえのパンチなんざ、目を瞑ってたって避けられるぜ!」
何度もパンチを避けられ、苛立つドラコはそのことに気づく。
「さあ、そろそろこっちからいくぜえっ! シュっ! シュ…!」
「…うぐっ……がはっ…!」
反面、オーサンの繰り出す洗練された素早いパンチは全弾、ドラコの顔にヒットする。
「オラ、オラどうした? まだまだこれからだぜえっ! …シュ…シュ……シュ…シュ…シュ…」
「…ぐっ……ごふ……クソ……ごはっ…」
避けることも防ぐこともできず、なすがままに殴られるドラコは、あっという間に十数発も食らわされてしまう。
足をフラフラにしながらもなんとか堪えてはいるが、常人ならばすでに倒れていてもおかしくはないレベルのダメージである。
すべては、オーサンの作戦であった……人質をとって誘い出すと自身の得意な素手でのタイマン勝負へと持ち込み、あわよくば仲間達の前でドラコを打ちのめし、彼の名誉を失墜させた上でチームを乗っとろうと考えたのである。
「ぜんぜん相手になんねえな……シュ…シュ……仲間見捨ててメイス拾ってもいいんだぜ? …シュ…シュ…」
なんとか腕を上げてガードをするも、防戦一方で殴られ続けるドラコに対し、余裕綽々のオーサンはそんなことを言っておちょくってくる。
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