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告白どころではなくなった、この絶体絶命の瞬間から抜け出す方法はないのだろうか。
「だいぶお悩みのようね。そうねえ、ひとつだけ手があるわ」
クラウンは人差し指を口元に寄せると、ニヤリと流し目を僕に向けた。
「どうすればいい? 教えてくれ!」
「この世界を統べる絶対の権力者である私に、ゲームで勝つこと。それができれば、もしかしたら可能性はあるかもしれない」
「どんなゲームに勝てばいいんだ? まさか漫画によくある……デスゲームみたいな?」
「そんな大それたものじゃないよ。君が一番得意だと思っていること」
僕が一番得意なこと――それは脳筋だった僕が葉子さんに教えてもらい、今では逆にハマってしまったあのゲーム。
「……ポーカー?」
「そう、ポーカーで私に勝てるかしら? チャンスはたったの一回」
「勝つ自信はないけど……努力するしかない」
「君はいつもそんな感じね。最初から勝つイメージを持っていない。負けたときの言い訳ばかり考えている。やっぱりだめだった、僕はもう終わりだって」
「え? 僕のことがわかるの?」
ふふと怪しげにクラウンが笑う。
「当たり前じゃない、ポーカーは心理ゲームよ。君がどんな人間か知っているからこそ、このゲームを選んだのよ」
「それじゃあ、やっぱり勝ち目はないということ?」
「だからこそ、万が一にも勝つことができれば可能性はあるかもね、ということ」
「他の選択肢は?」
「ないわ」
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