右手のいいぶん

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 その文字に並びに僕はびっくりした。え? つまらない? もしかして僕が夜な夜な書いている小説のことか。ああ確かに、つまらないと思うよ。でもいいじゃないか、誰に見せるわけでもないんだから。 「ちがうよ。俺にも書かせろってこと。お前が考えるよりずっといいもの書けるわ。ほんとにおまえは、書いては消し、書いては消し、優柔不断と言うか、なんというか、もっとのびのび書けないもんかね、書かされるこっちの身にもなってみろ。悩んで悩んで悩んだ挙句、書いたものを誰にも見せないなんて、臆病にもほどがある。いいか、もう小説とやらはおれに任せろ、おまえには荷が重いんだ」  言いたい放題、いや、書きたい放題だ。  僕はあまりの言われように、ふてくされてしまい、だったら好きにしなよと、いうと、素直にもとに戻ってくれた。  それで今、右手にまかせてこんな文章を書いているのだけれど、最後に「そういや、毎日ニベアをつけてくれるとか言ってたな」と言うというか、ここに書いていたので、僕はこれを投稿したらすぐに、ドラッグストアにいこうと思う。
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